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第246号 民法 第307条 (共益費用の先取特権)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第246号 2007・2・21
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんは。

今日は、民法307条の解説です。

前回は、一般の先取特権にどのようなものがあるのかを解説しました。

今日は、そのうちの一つ共益の費用についての解説になります。

これを解説するには、詐害行為取消権が分かっている方がいいと思って前回は、あまり解説しませんでした。

今回は、先取になってしまいますが、詐害行為取消権の簡単な解説と合わせてしようと思います。

このメルマガでは、勉強の方法なども時々私の経験でお話をさせていただいております。

私が実際に感じたことを基礎に、いろいろな人からの話で裏づけを取った上で話をしています。

やっぱり、世間で頭がいいと言われている人たちは、同じようなやり方を取っていることが多いです。

もちろん、個性や能力もありますので、細かい部分は異なりますが、基本となる方法論はほんとに同じなのです。

漫然と勉強するだけでなく、ぜひ勉強方法というのも意識してください。

人間は、能力の1割も発揮できていないと言います。それをいかに引き出すかが大事なことなのです。

頭のいいといわれている人たちは、それを知っているのでしょう。

それでは、はじめて行きましょう!

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▼▼▼ 民法 第307条  (共益費用の先取特権) ▼▼▼

1項

共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。

2項

前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

■■ 解説 ■■

共益の費用については、先取特権が成立します。

共益の費用というのは、各債権者の共同の利益のために使われた費用のことを言います。

ただ、これだけではあいまいでよくわかりませんよね。

一番の典型例が詐害行為取消権を行使した際にかかった費用がこれにあたるのです。

ということで、詐害行為取消権について簡単な説明をします。

〜 事例 〜

甲さんが、乙さんに対して、1000万円の貸金債権を有していました。

乙さんは、500万円の土地を有しており、他にめぼしい財産は有しておりませんでした。

その後、乙さんは、丙さんに対して、その土地を10万円で売却してしまいました。

このような場合、甲さんは、乙丙間の土地の売買契約を取り消すことができます。

これを詐害行為取消権といい、424条で規定されています。

そもそも、なぜ、乙さんは、500万円もする土地を丙さんに10万円で売ったりするのでしょうか?

この意味が分かる人はするどいです。

これは、債務逃れのためです。

乙さんは、甲さんに対して、1000万円の借金をしているにも関わらず、他にめぼしい財産を有しておりません。

これは、債務超過の状態です。つまり、いつ破産してもおかしくないような状態なのです。

もし、乙さんは、金を返すことができなくなれば、500万円の土地を甲さんに差押さえられて取られてしまいます。

そこで、どうせ取られるなら、10万円でもいいから売ってしまえということになるわけです。

もっと言えば、乙さんと丙さんはグルで、形だけ丙さんのものにして、後で返してもらうということもできます。

10万円で売るといっても立派な売買契約として成立します。すると、土地の所有権は、丙さんに移転してしまいます。

こうなると、甲さんは、土地を差し押さえることができなくなってしまいます。

なぜなら、土地は、債務者である乙さんのものではなく、全く関係のない丙さんのものになってしまっているからです。

このように、債務逃れをすることができてしまうわけです。

でも、こんな事が許されるとすれば、債権者である甲さんはたまったものではありません。

そこで、このような詐害的な行為がなされた場合、債権者はそれを取り消すことができるのです。

詐害行為取消権というのが、どういうものかお分かりいただけたでしょうか?

詐害行為取消権を行使するためには、他にもいろいろと要件がありますが、今はこれくらい理解していただければ十分です。

ただ、詐害行為取消権を行使するには、裁判所に訴えてする必要があるのです。

裁判所に訴えるとなると弁護士費用など、いろいろと費用がかかってきます。

この費用が共益の費用というわけです。

もう一点注意が必要です。詐害行為取消権を行使した場合の効果ですが、詐害行為取消権が行使されると、その効果は、すべての債権者のためにその効力を生じます。

さきほどの事例でいえば、甲さんが、乙丙間の売買契約と取り消したとしても、その土地を直接自分に渡せということは原則としてできないことになります。

あくまで、乙丙間の行為を取り消すだけですから、丙さんから乙さんに土地を返すように請求することができるだけなのです。

そして、乙さんの下に戻ってきた土地を競売などして、その売却代金を他の債権者たちと平等に分けることになります。

つまり、詐害行為取消権というのは、自分の利益のためだけにするわけではなく、全ての債権者のためにするのです。

にもかかわらず、詐害行為取消権を行使する際に使った費用が回収できないとなると、困りますよね。

ですから、みんなのために使った費用については、先取特権を認めて優先的に弁済を受けることを認めているのです。

これが、一般の先取特権の共益の費用というわけです。

■■ 豆知識 ■■

今日は、特にありません。

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■ 編集後記 ■

詐害行為取消権の内容をだいたい理解できたでしょうか?

詐害行為取消権は、かなり難しいので、今はこれくらい分かれば十分です。

要件もややこしいし、そもそも法的性質に争いがあります。

大きく分けて、形成権説、請求権説、折衷説、責任説などがあります。

また、その条文がきたときに解説します。

さらに、424条が詐害行為取消権についての規定で、423条に債権者代位という規定があります。

似たような言葉ですが、内容は異なります。

この2つは、ほんとに大事な条文です。

このあたりの条文は、極めて重要な条文が並んでいますので、楽しみにしておいてください。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

最近、ほんとに時間がないです。

いろいろとやらないといけないことが多いです。

せっかくですから、時間を有効活用する訓練だと思ってがんばります(^―^)

関連条文

第277号 民法 第350条  (留置権及び先取特権の規定の準用)(20072828)

第276号 民法 第349条  (契約による質物の処分の禁止)(20072828)

第274号 民法 第347条  (質物の留置)(20072828)

第273号 民法 第346条  (質権の被担保債権の範囲)(20072828)

第269号 民法 第343条  (質権の目的)(20071818)

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