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第230号 民法 第295条(留置権の内容)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第230号 2006・12・13
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんにちは。

今日も留置権の続きです。留置権の成立要件を一つずつ解説していこうと思います。

留置権は、大事な条文ですし、しっかりと要件・効果という視点から考えるというプロセスを癖づけてもらうために、少しゆっくりと解説していこうと思います。

それでは、はじめていきましょう!!

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▼▼▼ 民法 第295条  (留置権の内容) ▼▼▼

1項
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

2項
前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

■■ 解説 ■■

さて、さっそくですが、前回解説した留置権の成立要件をもう一度確認しておきましょう。

〜留置権の要件〜

1、債権と物との牽連性(「その物に関して生じた債権を有する」)

2、債権が弁済期にあること

3、留置権者が他人の物を占有していること

4、占有が不法行為によって始まったものでないこと(2項)

この4つの要件を充たせば留置権は成立するんでしたよね。

まず、今日は要件1の債権と物との牽連性(「その物に関して生じた債権を有する」)について解説します。

実は、留置権の要件の中でも一番難しいのがこの要件です。これさえ乗り切ってしまえば残りの要件はそれほどでもありません。

頑張っていきましょう!!

なぜ、留置権の成立要件として債権と物との牽連性が要求されているのでしょうか?

これは、留置権の趣旨から考えればすぐにわかります。

留置権というのは、他人の物を留置することによって、相手方に心理的圧迫を与えて弁済を促すための物権です。

つまり、「物を渡して欲しければ、弁済をしろ!」ということです。

物を渡して欲しい人は、頑張って弁済をするでしょう。

このようにして留置権は債務の弁済を確実に受け取れるようにしているわけです。

とすれば、債権と物との牽連性という要件はどういうことになるでしょうか。

もうお分かりですよね。

簡単に言えば、物を留置することによって、相手方に弁済を促すことができる関係にあるということです。

そのような関係がある場合に、債権と物との牽連性という要件を充たすことになります。

たとえば、居酒屋でAさんとBさんがお互いに靴をはき間違えたような場合です。

この場合、当然Aさんは、Bさんに対して「靴を返せと!」と言います。

他方、Bさんは「自分の靴を返してもらうまでは、あなたの靴も返さない!」と言うことができます。

なぜなら、留置権が成立するからです。

つまり、Bさんは、Aさんの靴を返さないことによって、自分の靴を返してもらうという弁済を促すことができる関係にあるわけです。

だいたい理解できたでしょうか?

では、問題を出します。少し難しいですが、次回までに一度自分で考えてみてください。

債権と物との牽連性を充たすかどうかを検討してください。

〜問題1〜

Aを貸主、Bを借主とする家屋を目的とする賃貸借契約が成立しました。

その後、Bさんは家屋に対して必要費・有益費などの費用を支出しました。

この場合のBさんの費用償還請求権という債権と家屋という物との間に牽連性は認められるでしょうか?

つまり、Bさんは「自分が支出した費用を払ってくれるまで、家は返さない!」と言うことができるかということです。

〜問題2〜

Aさんは甲という不動産を有していました。

その後、Aさんは、甲不動産を、Bさんに売り、引渡しをしました。

しかし、さらにその後、Aさんは甲不動産をCさんにも売り、Cさんは登記を完了しました。

この場合、177条で登記を具備したCさんが勝つわけですから、負けたBさんはAさんに対して損害賠償請求をしていくことになります。

ただ、Cさんが登記を先に具備した以上は、甲不動産はCさんに引き渡さなければなりません。

この場合、BさんのAさんに対する損害賠償請求権という債権と、甲不動産という物との間に牽連性は認められるでしょうか?

わからなくてもいいので、必ず自分で考えてくださいね。

■■ 豆知識 ■■

債権と物との牽連性と聞くと難しく聞こえますが、さきほども言ったように「物を留置することによって、相手方に弁済を促すことができる関係にある」かどうかだけを意識すればいいのです。

この視点は、ほんとに重要ですから、必ずこの視点を持つようにしてください。

それから、問題2は177条がある程度理解できていないと解けないので、バックナンバーを参考にしてください。

バックナンバー → https://www.mainiti3-back.com/

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■ 編集後記 ■

法律の勉強は、覚えることが無限にあると思われがちですが、記憶するということは、実はそれほど多くないのです。

たとえば、留置権にしたって、どんな場面で留置権が成立するのかということを全て記憶してしまおうとするとキリがありません。それこそ無限です。

そういうやり方で勉強している方は、覚えることが多いと思われるでしょう。

しかし、留置権の要件だけ覚えてしまえば、後はどんな問題が出されたところで、その問題が留置権の要件を充たすのかどうかということをその場で考えればいいわけです。

つまり、留置権の要件の4つだけ覚えておけば、留置権に関してはどんな問題が出されてもほとんど解けるはずなのです。

それ以外の、具体的な場面なんて覚える必要はないのです。

ただ、そうは言っても典型的な具体例は自然に覚えていくと思いますけど。。

いずれにせよ、要件・効果から考える癖をつけておけば、それほど記憶しなければならないものは多くないはずです。

このやり方は、はじめは時間がかかるので、大変ですが、長い目で見れば、これほど楽なことはありませんし、どんな問題にも対応することができます。

一つずつ自分で考えるという癖をつけてください。それを放棄してしまって、いろんな場面を記憶するという勉強法に走ってしまうと資格試験の合格も遠ざかると思ってください。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

英語能力を見につけたいと本気で思います。

時間を見つけて、優先順位を少しあげて英語の勉強をすることにします。

関連条文

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第231号 民法 第295条(留置権の内容)(20070404)

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