第150号 民法 第179条 混同
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第150号 2006・3・30
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんにちわ。
今日は、昼間の配信となりました。少し時間があったので、その間に頑張って書くことにしました。
今日は、民法179条の解説です。民法179条は1項から3項まであって、それぞれ重要な条文ですので、一つずつ解説していきたいと思います。
それでは、さっそくはじめましょう!!
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▼▼▼ 民法 第179条 ▼▼▼ (混同)
1項
同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は消滅する。ただし、その物又は当該他の物物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2項
所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3項
前2項の規定は、占有権については、適用しない。
■■ 解説 ■■
さて、民法179条の解説ですが、この条文は物権の混同について規定している条文です。
物権は強力な権利であると説明してきましたが、当然、何らかの原因で物権が消滅する場合があります。
物権が消滅する原因としては、いろいろとあるのですが、この混同というのも、物権の消滅原因の一つです。
簡単に言えば、ある物権とある物権が一つに合体して消滅するということです。
まず、今日は1項本文の原則論を説明をします。1項には但書きがあって、例外が規定されているのですが、それは次回にします。
まずは、1項本文の原則論を抑えておいてください。
179条1項は、物権の中でも一番強力な権利である所有権とその他の物権が合体した場合に、その物権が消滅するという規定です。
抽象的な話をしていても全くわからないと思いますので、具体例をあげます。
Aさんが、Bさんに100万円を貸しました。その時に担保として、Bさんの甲土地に抵当権を設定しました。
その後、AさんはBさんの土地が欲しくなりその抵当権が付いた土地を買い取りました。
これが典型的な混同が生じる場合で、この場合Aさんが設定していた抵当権は消滅します。
どういうことかというと、Aさんは初めは甲土地に対して抵当権という物権を有していたわけです。
その後、甲土地を買い取っていますので、その時点で、甲土地の所有権も取得するわけです。
すると、Aさんは甲土地に対して抵当権と所有権という2つの物権を有することになるわけです。
これって全く意味がないですよね。
自分の土地に自分の抵当権が付いているという状態です。これは意味がありません。
ですから、この場合には混同によって抵当権が消滅するのです。
このように、並存させておく必要のない権利を消滅させるのが混同という制度です。
まずは、これが混同の原則論ですのでしっかりと理解しておいてください。
■■ 豆知識 ■■
さきほどの話をしていて違和感を感じる人がいるかもしれません。
抵当権が消滅すると、Bさんは得するのではないか?
と思われるかもしれません。
でも、そんなことはありません。
さきほどの話で、甲土地の価値が1000万円だったとします。
そして、その土地に100万円を担保するための抵当権が設定されているわけです。
もし、甲土地をAさんが時価どおり1000万円で買ったとすると、抵当権が消えるので、Bさんは得をすることになります。
でも、そんな人はいません。
つまり、通常は、抵当権が設定されている分の価額を差し引いた値段で取引されるのです。
この具体例でいえば、1000万円−100万円の900万円です。
こうすると、うまくいきますよね。
民法の勉強をする時は、具体的にどうなるのか?ということをしっかりと自分で考えながら勉強してください。
すると、理解が深まります。
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■ 編集後記 ■
抵当権の解説をしていませんので、ちょっとわかりにくかったかもしれません。
抵当権は、物権の中でもすごく重要なものですので、またその時にじっくりと解説しますので安心してください。
それでは、次回もお楽しみに!!
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管理人レイ
なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることがで
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(裏編集後記)
海外オークションのeBayに少し興味があります。ヤフオクとは比べ物にならないほど大規模なオークションで、2億人が参加しているらしいです。
日本の人口を越えていますね(^O^)
世界に目を向ければビジネスチャンスは大きく広がりますね。しかも、インターネットを利用すれば、簡単に海外と交流できますからね。
ただ、英語の壁が厚いです。ipodを活用して移動時間に英会話の勉強をしています。
ipodはほんとにおすすめです。
関連条文
・第177号 民法 第200条 占有回収の訴え 解説(20062929)
・第176号 民法 第199条 占有保全の訴え 解説(20062727)
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