第148号 民法 第177条 不動産に関する物権の変動の対抗要件
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第148号 2006・3・21
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■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。
前回は、登記というものがどういう制度なのかを解説しました。
今日は、民法177条の解説に入りたいと思います。
それから、このメルマガのバックナンバーを公開しているサイトがあるのですが、文字だけの解説だとわかりにくい部分もあると思うので、イラストレーターでちょっとした図を作ってみました。
少しはわかりやすくなったかもしれないので、そちらの方も一度見てみてください。
144号の部分です。↓
https://www.mainiti3-back.com/archives/2006/03/post_150.html
それでは、さっそくはじめましょう!!
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▼▼▼ 民法 第177条 ▼▼▼ (不動産に関する物権の変動の対抗要件)
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
■■ 解説 ■■
さて、この民法177条の解説に入ります。
この177条は、不動産に関して物権の得喪があった場合には、登記をしないと第三者に対抗することができない、という規定です。
不動産に関する物権の得喪というのがわかりにくいと思いますので、分かりやすくいうと、土地の売買が典型例です。
土地というのは、「不動産」ですよね。その土地を売ると、売主からすれば、その土地の所有権という「物権」を「喪失」するわけです。
反対に、買主からすると、その土地の所有権という「物権」を「取得」するわけです。
つまり、土地の売買は、「不動産に関する物権の得喪」にあたるわけです。
ですから、土地の売買がなされた場合、登記をしないと第三者に対抗することができなくなります。
例えば、Aさんが甲という土地を所有していました。
その後、Aさんは、その甲という土地を、Bさんに売りましたが、登記は移転せずに、未だに登記はAさんの下にありました。
それを、いいことにAさんは、さらにCさんに甲土地を売り、Cさんに登記を移転しました。
この場合、先に買ったのはBさんですが、Bさんは登記がないので、Cさんに負けてしまします。
Bさんは、甲土地を利用しているCさんに対して「出ていけ!」とは言えなくなります。
つまり、Bさんは登記がないので、「第三者」であるCさんに対抗することができないのです。
このように、登記を基準にして考えないと、取引の安全を保護することができないのです。
Cさんからすれば、Aさんが登記を持っているから安心して買ったのでしょうし、反対にBさんは土地を買ったのに、登記を移さなかったという落ち度があるわけです。
このように土地などの売買がなされて、物権の移転などがあった場合には、その登記をしないと第三者には対抗することができないのです。
そのことを規定したのが、この民法177条です。
この177条は、難しいのでこれくらい理解できれば十分です。
■■ 豆知識 ■■
さきほどは、簡単に「第三者」という部分は流しましたが、正確にいうと「第三者」というのは誰なのでしょうか?
この点について、「第三者」とは、当事者及びその包括承継人以外の者で登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者といわれています。
とすると、さきほどの具体例で、Bさんからみて、Aさんは第三者に当たるでしょうか?
結論から言うと、Aさんは、「第三者」にはあたりません。
なぜなら、Bさんから見て、Aさんは売買契約の「当事者」だからです。
さきほどの、「第三者」の定義にあてはならないのです。
ですから、Bさんは登記がなかったとしても、Aさんには自分が所有者であることを対抗することができます。
では、なぜ当事者には対抗することができるのでしょうか?
これは、常識的に考えると分かりやすいのですが、当事者同士であれば、取引の安全を保護する必要がないからです。
つまり、AさんとBさんは自分たちが契約をしているわけですから、登記がなくても、土地の所有権が誰にあるかなんて知っているはずだからです。
他方で、BさんとCさんの関係を見るとどうでしょうか?
BさんとCさんは直接取引をしたわけではないですし、Cさんからすれば、AB間ですでに売買契約が成立していたなんて知る余地がないわけです。
ですから、登記を基準に判断しないと取引の安全を図ることができないのです。
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■ 編集後記 ■
この民法177条は本当に難しいです。解説しようと思えばいくらでもできるのできりがありません。
一応、最低限のことは解説したと思うので、これで終わりにしようと思います。
ただ、うまく解説できた自信はありませんので、おそらくほとんどの方が完全には理解できていないでしょう。
悩ましいところですが、ここで立ち止まっていくらしっかりと解説をしても、おそらくこの部分だけで全てを理解するということは難しいと思うので、先に進もうと思います。
よくわからなかったという人も気にしないでくださいね。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
民法177条は、ほんとうに難しいです。しかも、文字だけで説明するわけですから、かなり厳しいです。
また、バックナンバーで図でも書いて解説しますので、そちらも楽しみにしておいてください。
民法177条は、理解することができれば、民事訴訟法の理解も深まるので、おもしろい部分ではあるのですけどね。
「対抗」という言葉が、普段使わない言葉で、難しいのでしょう。
関連条文
・第177号 民法 第200条 占有回収の訴え 解説(20062929)
・第176号 民法 第199条 占有保全の訴え 解説(20062727)
・第174号 民法 第197条 占有の訴え 解説(20062424)
・第172号 民法 第196条 占有者による費用の償還請求(20061313)
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