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第144号 物権の解説 物権全般についての解説!

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第144号 2006・3・10
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんわ。

朝の配信が間に合わなかったので、夕方の配信になってしまいました。

さて、昨日から物権の解説に入っているわけですが、どうでしょうか?

おそらく言っている意味は分かるけど、いまいちよくわからないという感じだと思います。

ただ、それは仕方がないことなので安心してください。

今は、物権のそれぞれ個別の解説に入る前に、大きくというか抽象的に物権全般についての解説をしているからです。

とりあえず、何となくわかっていただければそれでかまいません。

今日も、物権全般について共通の解説です。次回からは、いつもどおり条文の解説に入っていきたいと思います。

それでは、さっそくはじめましょう!!

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■■ 解説 ■■

さて、前回は、物権には「直接性」「排他性」という性質があるということを解説しました。

今日は、物権に共通の主義というのがあって、それを解説しようと思います。

それと、物権の優先的効力というものを解説します。

まず、主義といいましたが、物権には「一物一権主義」(いちぶついっけんしゅぎ)というものがあります。

この一物一権主義には例外があるのですが、それはとりあえずおいといて、原則だけ紹介します。

一物一権主義とは、一つの物権の客体は、一個の独立物でなければならないという原則をいいます。

例えば、ここにメルセデスベンツがあるとします。

このメルセデスベンツは一つの物ですよね。

車という一つの物です。

確かに、車にはハンドルやタイヤ、ドアなどがついていますが、それらを一つずつ独立に考えることは原則としてありません。

全部まとめて、車という一つの物なのです。

このメルセデスベンツに対して所有権を有する人がいた場合、その所有権は一つの車という物全体に対して及びます。

これが、一物一権主義です。

つまり、メルセデスベンツのハンドルはAさんの所有権、タイヤはBさんの所有権というように、車という一つの物に対して、いくつもの所有権が成立することは原則としてないということです。

この一物一権主義が定められている趣旨は、

1、物の一部や集団の上に1個の所有権を認める社会的必要性がないこと

2、物の一部や物の集団の上に物権が成立していることを示す公示方法がないこと

ということが言われています。

ただ、さきほどもいいましたが、例外が一部認められています。

つまり、さきほど、一物一権主義の趣旨を2つ説明しましたが、この趣旨に反しない場合には例外が認められるということです。

趣旨に反しない場合というのはどういう場合でしょうか??

そうですよね。さきほどの趣旨の反対を考えればいいわけです。

すなわち、

1、物の一部や集団の上に1個の所有権を認める社会的必要性があり

2、物の一部や物の集団の上に物権が成立していることを示す公示方法がある場合

この2つの要件を充たした場合です。

公示方法というのは、すごく重要なのですが、まだ説明していないので、また後ほど説明します。

ある程度理解できれば、十分です。

次に、物権の優先的効力というものですが、これは、物権には「直接性」と「排他性」があり非常に強力な権利であるということから導かれるものです。

例えば、Aさんが所有している甲という家を、Bさんに賃借したとします。

そして、Bさんは、甲に住んでいました。

その後、Aさんは、さらにその甲をCさんに売ってしまいました。

この場合、Cさんは、賃借して住んでいるBさんに対して「出て行け」ということができるのです。

つまり、Bさんが有しているのは、Aさんに対する賃借権という「債権」です。

他方、Cさんが有しているのは甲という家に対する所有権という「物権」です。

物権には優先的効力があり、債権より強いので、Cさんが勝つのです。

これが物権の優先的効力というものです。

法律の世界ではこれを「売買は賃貸借を破る!」といいます。

物権の優先的効力 売買は賃貸借を破る

ただ、難しいのですがこれにも例外があって、不動産賃借権の場合、ある一定の要件を充たせば、借地借家法が適用されて債権なのに、物権に対抗できる場合があるのです。

また、これも後ほど説明します。

ちなみに、借地借家法というのは、法律の世界では「しゃくちしゃっかほう」と読みます。「しゃくちしゃくやほう」でも間違いではありません。

■■ 豆知識 ■■

今日の豆知識は特にありません。解説で紹介した、物権の直接性と排他性というのをしっかりと理解してください。

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■ 編集後記 ■

今日も、抽象的な話でしたので、少し分かりにくかったと思います。

抽象的な話をしているので、イメージがわきにくいのは当然ですので、あまり深く考えないでくださいね。

とりあえず、解説したことに意味がわかって、原則論さえ分かれば十分です。

法律の世界は、原則と例外というのがあって、ほんとにややこしいです。

例外のない原則はないといっても過言ではありません。

ただ、大事なのは原則ですので、まず、原則論をしっかりと理解してください。

原則と例外を考えるにあたっての思考方法を少しだけ説明します。

まず、原則論があるわけですが、これには必ず趣旨・理由があるはずです。

何らかの趣旨・理由があるから、何らかの原則論が導かれるわけです。

とすれば、原則論の基礎となっている趣旨・理由に反しないのであれば、例外を認めてもいいということになるはずです。

ちょっと、難しい話をしてしまいました。

それでは、次回もお楽しみに!!

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