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第375号 2017・7・9

■■ はじめに ■■

みなさん。こんにちは。

今日で不可分債権・不可分債務の解説は終わりです。

それほど難しい条文ではないので、今回は気楽に読んでいただけると思います。

すでにご存知の人も多いかと思いますが、数年前に民法の条文と憲法の条文を学習できる無料のiPhoneアプリを作って公開しました。

それでは、さっそく解説を始めていきましょう。

▼▼▼ 第431条(可分債権又は可分債務への変更) ▼▼▼

不可分債権が可分債権となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができ、不可分債務が可分債務となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。

■■ 解説 ■■

今回の条文は簡単ですよね。

条文を読んでいただければだいたい意味は分かると思います。

まず前段です。

428条で解説したように不可分債権については各債権者が全部の給付を請求することができました。

その不可分債権が何らかの事情で可分債権になった場合には、427条の原則に戻って、各債権者は自分の持分についてのみ請求することができるようになります。

次に後段です。

不可分債務も同じです。

不可分債務者は債権者に対して全部の給付をする義務を負いますが、その不可分債務が何らかの事情で可分債務になった場合には、427条の原則に戻って各債務者は自己の負担部分についてのみ責任を負うようになります。

不可分債権・不可分債務というのは元々は別個独立の債権・債務なのですが、その目的である給付がたまたま性質上不可分であるために、特別の効力が認められているにすぎないわけです。

ですから、給付が性質上可分になれば427条の原則論に戻るということです。

では、具体的にはどのような場合に不可分債権が可分債権になり、不可分債務が可分債務になるのでしょうか?

典型的なのは、物の引渡請求権が損害賠償請求権に転化した場合です。

例えば、甲、乙が丙から200万円の中古車を買ったとします。

この時に甲、乙が丙に対して有する中古車の引渡請求権は不可分債権です。

自動車というのは社会通念上は分割不可能なので、性質上不可分となるからです(428条)。

不可分債権なので甲も中古車全部の引渡請求ができるし、乙も中古車全部の引渡請求ができます(428条)。

その後、丙の帰責事由によってその中古車が滅失(事故で廃車になったとか不注意で盗まれた等)してしまったとします。

すると甲、乙が丙に対して有する中古車の引渡請求権は損害賠償請求権という金銭債権に転化します(415条)。

415条の履行不能に基づく損害賠償請求ですね。

これが分からない場合は、415条を復習しておきましょう。

↓民法第415条(債務不履行による損害賠償)Part1
https://www.mainiti3-back.com/g/349/

金銭債権はもちろん可分債権なので、甲と乙はそれぞれの持分である100万円(200万円 x 1/2)ずつしか請求することができなくなるということです(持分割合は平等とする)。

中古車の引渡請求の時は甲と乙はそれぞれが全部の引渡し(200万円の価値の中古車全部)を請求できたのに、損害賠償請求権に転化すると自己の持分である100万円しか請求できなくなるという事です。

■■ 豆知識 ■■

さきほどの具体例をちょっと変更してみましょう。

危険負担など、まだ解説していないこともあるので、分からなければ読み流して下さい。

1.中古車が滅失したのが売買契約の前だった場合はどうなるでしょうか?

2.中古車が滅失したのが甲、乙の帰責事由によるものであった場合はどうなるでしょうか?

3.目的物が中古車ではなく新車だった場合はどうなるでしょうか?

ぜひ、自分で考えていただきたいのですが、簡単に解説します。

1.中古車の引渡が契約締結の当初において客観的に不能なので原始的不能として契約は無効となります。あと論点としては契約締結上の過失の理論です。

2.債権者である甲、乙の過失で滅失しているので、危険負担の問題になります。534条1項の債権者主義が適用されるので、甲と乙が有する中古車の引渡請求権は消滅しますが、丙の有する代金請求権は存続します。

3.新車でまだ特定が生じていないので(401条2項)、履行不能というのが観念できないので丙は依然として調達義務を負います。

まだ、分からないかもしれませんが、このようにちょっと事例が変わるだけで結論が全く変わります。

本当に条文・要件・効果は大事です。

どの法律もそうですが、民法は特に条文の素読が役立ちます。

ちなみに、今回の431条は改正されていません。

多数当事者の債権債務関係の中で数少ない改正されていない条文の1つです。

それでは、次回もお楽しみに。

■■ 編集後記 ■■

今回はありません。

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持病の偏頭痛が気圧の変化に敏感に反応してくれるので、ちょっと辛いです。

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