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第260号 民法 第333条  (先取特権と第三取得者)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第260号 2007・5・28
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんは。

今日は、民法333条を解説します。

民法333条は、先取特権の中では重要な条文の一つですので、しっかりと理解してくださいね。

さて、少し話しは変わりますが、このメルマガの読者の中には専業の受験生である方も多いと思います。

受験生の大きな悩みの一つに「金と時間」の関係があると思います。

金を稼ごうと思えば、時間がとられてしまうし、時間をとられてしまうと勉強に支障が出ます。

インターネットを利用して、小遣い程度の収入を得ることができることは、最近ではテレビなどでやっていて有名な話だと思います。

私も、ホームページを複数運営しており、そこからある程度の収入を得ております。

インターネットを活用して収入を得るというのは、ほんとにおすすめのやり方です。

私も、「金と時間」との関係でほんとに悩んだ時期がありましたので、いろんな方法をまた紹介したいと思います。

前置きが長くなりましたが、それでははじめていきましょう!

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▼▼▼ 民法 第333条  (先取特権と第三取得者) ▼▼▼

先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

■■ 解説 ■■

この民法333条は、先取特権と物の第三取得者との関係を規定した条文です。

これは、具体例で解説した方がわかりやすいと思います。

Aさんが、B旅館に宿泊しました。

この時点で、B旅館はAさんに対して宿泊料の支払債権を有しています。

しかし、チェックアウトの時点で、Aさんが支払う金がないと言い出しました。

この場合には、311条2号によって、B旅館はAさんの手持ちのカバンなどの動産に対して動産の先取特権を有することになります。

つまり、Aさんが持っている動産から優先的に宿泊料債権の弁済を受けることができるわけです。

その後、Aさんは、Cさんに対して手持ちのカバンを売ってしまい、引渡しも完了しました。

この時点で、B旅館の先取特権は消滅してしまうことになります。

これを規定しているのが、民法333条です。

なぜ、このような規定があるのでしょうか?

333条の趣旨は、公示のない動産上の先取特権の追及力を制限し、動産取引の安全を図ることだと言われています。

少しわかりやすく解説するために、追及力のある担保物権である抵当権と比較します。

たとえば、AさんがBさんに1000万円を貸して、Bさんの土地に抵当権を設定したとします。

抵当権は登記をすることができます。つまり、登記をすることにより、抵当権が設定されていることを公示することができるのです。

とすると、ある土地を買おうとする人は、その土地を買う前に登記簿を調べれば、その土地に抵当権が設定されていることがわかるのです。

ですから、抵当権が設定されていたとしても、取引の安全を害することはありません。

だからこそ、抵当権には追及力というものが認められているのです。

さきほどの事例で、抵当権が設定されているBさんの土地がCさん、さらにDさんに売り渡されていったとしても、ずーっと抵当権は設定されたままなのです。

これを追及力と言います。

他方で、先取特権の場合はどうでしょうか?

先取特権は、一般の先取特権、動産の先取特権、不動産の先取特権の3種類があり、一般の先取特権と動産の先取特権は登記をすることができないのです。

とすると、ある物に対して先取特権が存在していたとしても、その物に先取特権が成立しているかどうか第三者は知ることができないのです。

ある物を買ったのに、実はその物には先取り特権が設定されていましたということになると、その物を買った人からするとたまったものではありません。

つまり、公示されていないので、取引の安全を害することになるのです。

ですから、333条は、追求力を制限して、第三者に引き渡された後は、先取特権を行使することができないとすることによって、その物の取引をした第三者を保護しているのです。

これが、333条の趣旨である、公示のない動産上の先取特権の追及力を制限し、動産取引の安全を図ること、という意味です。

さきほども言いましたが、333条は、不動産先取特権には適用されません。

これはなぜでしょうか?

趣旨から考えればわかりますよね。

不動産先取特権の場合には、登記をすることができます。

つまり、登記をすることによって公示されているわけですから、取引の安全を害することがないので、第三者を保護する必要がないからです。

■■ 豆知識 ■■

333条に関連して、一つ有名な判例がありますので、覚えておいて損はないと思います。

333条の「引渡し」に占有改定は含むのかという点が争われました。

結論は、333条の「引渡し」に占有改定は含みます。

これも趣旨から考えればわかりますよね。

333条の趣旨からすれば、取引の安全を守るためには、引渡しの態様が占有改定であれ333条を適用しなければならないはずだからです。

わからない問題が出てきたときは、趣旨から考えて判断すれば、正解することが圧倒的に多いです。

占有改定って何?引渡しの態様って何?という方がいれば、バックナンバーで復習しておいてくださいね。

引渡しの態様は、4種類あって、全て重要ですから、必ず忘れたという方は復習しておいてくださいね。

182条くらいからの解説です。

→ 182条の解説はこちら

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■ 編集後記 ■

今日は、先取特権の中でも大事な条文を解説しました。

少し難しかったかもしれませんが、趣旨から考えれば何とか理解できるはずだと思います。

とにかく趣旨から考えることをくせにしてください。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

昨日は、あるパーティに出席してきたのですが、宮崎哲也さんにお会いしました。

テレビで見ているのとほとんど同じ印象でしたが、独特の雰囲気がありました。

テレビでは、批判されていることが多いですが、昨日は、考え方が合ったのか、すごくいろいろな意見に賛同されていました。

関連条文

第277号 民法 第350条  (留置権及び先取特権の規定の準用)(20072828)

第276号 民法 第349条  (契約による質物の処分の禁止)(20072828)

第274号 民法 第347条  (質物の留置)(20072828)

第273号 民法 第346条  (質権の被担保債権の範囲)(20072828)

第269号 民法 第343条  (質権の目的)(20071818)

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