第153号 民法 第179条 混同の解説
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第153号 2006・4・6
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんわ。
少し忙しい時期で、配信が不定期になってしまっています。
しばらくは、不定期な配信になってしまうかもしれませんが、どうかご了承ください。
今日は、民法179条3項の解説ということで、ようやく179条の解説が終わりです。
次回から、物権を一つずつ解説していくことになります。
それでは、さっそくはじめましょう!!
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▼▼▼ 民法 第179条 ▼▼▼ (混同)
1項
同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2項
所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3項
前2項の規定は、占有権については、適用しない。
■■ 解説 ■■
さて、民法179条3項の解説ですが、占有権というまだ解説していない権利が出てきています。
そこで、占有権について解説しなければならないのですが、次回で解説する180条が占有権についての規定なのです。
ですから、詳しいことは次回解説するとして、今回は、占有権についての解説は、簡単なものに留めておこうと思います。
占有権とは、簡単にいうと、物を占有しているという事実状態が権利として保護されるものです。
ちょっと、ややこしい権利なのですが、他の物権と決定的に異なるのは、法律上の根拠などがいらないということです。
自分が物を現実に支配している状態、つまり物を占有しているという事実それ自体が権利として認められるのです。
例えば、Aさんの車をBさんが盗んできたとします。
この場合、現在、車を現実に支配しているんは、Bさんですよね。
でも、だからといってBさんに所有権はありません。車の所有権は、Aさんにあります。
つまり、Bさんには、車を現実に支配できる法律上の根拠なんてないのです。
しかし、Bさんが車を現実に占有しているという事実があるので、Bさんには占有権は認められます。
盗人にも占有権は認められるのです。
何となく理解していただけたでしょうか。
また、次回、詳しいことは解説するので、一応の理解ができれば十分です。
これを前提に3項の解説に入ります。
占有権というのは、このように特殊な物権ですので、他の物権とは異なる次元のものと考えられます。
ですから、179条3項は、占有権については適用しないと規定しているのです。
つまりは、占有権と他の物権が同一人に帰属したとしても、占有権は混同によって消滅しないのです。
例えば、さきほどの事例でいうとAさんは車の所有権を有しています。
他方、盗人であるBさんは、現実に車を支配しているので、占有権を有しています。
その後、Aさんは、その車を盗人であるBさんに売りました。
とすると、Bさんは、車に対する所有権と占有権という2つの物権を有することになります。
とすると、混同が生じて、占有権が消滅しそうですよね。
しかし、占有権は消滅しません。なぜなら、法律上どのような関係が生じようが、車を支配しているという事実には変更がないからです。
物を占有しているという事実によって、権利が認められるというのが占有権だからです。
■■ 豆知識 ■■
179条全体を通しての豆知識を紹介しておきます。細かい話ですが、法律系の資格試験にはよく出題されますので、覚えておいて損はないでしょう。
混同が生じると、権利は消滅しますが、混同を生じさせた法律行為自体が、無効や取消、解除された場合には、消滅した権利が復活します
例えば、地上権者がその目的物を売買により取得した場合、地上権は混同によって消滅します。
しかし、その後、売買契約が解除されると、混同で消滅した地上権が復活します。
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■ 編集後記 ■
占有権について簡単に解説しましたが、占有権はほんとに難しいです。
特殊というか、変な権利なのです。
なかなか理解するのが難しいと思いますが、次回からしばらくは占有権についての解説に入りますので、頑張ってついてきてくださいね。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
花粉症の季節ですが、天気予報どおり、今年はかなりましです。
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確かに、テレビではすぐに効いていたようです。どこまでほんとか知りませんが、試してみる価値はありそうです。
関連条文
・第177号 民法 第200条 占有回収の訴え 解説(20062929)
・第176号 民法 第199条 占有保全の訴え 解説(20062727)
・第174号 民法 第197条 占有の訴え 解説(20062424)
・第172号 民法 第196条 占有者による費用の償還請求(20061313)
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