第90号 2005・12・1

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、90号です。

昨日から、表見代理の説明に入ったわけですが、どうでしょう、何となくは理解していただけたでしょうか。

いきなり全てを理解するのは難しいので、あまり気にせずに先に進みましょう。

今はわからなくても、先の説明を聞けば、遡って前の話が理解できるというのはよくあることです。

分からなくても、あまり気にせずとりあえず先に進む!

これは、どんな勉強をするにしても大事なことです。

とりあえず、一通り目をとおしてからわからない所に戻ってくるという方法をとりましょう。

第109条(代理権授与の表示による表見代理)

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内おいてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

■■ 解説 ■■

表見代理に関する総論的な説明は、昨日で一応終わったということで、今日は、さっそく109条の説明に入っていきます。

109条は授権表示による表見代理というものですが、分かりにくいので具体例をあげて説明します。

本人Aさん、代理人Bさん、相手方Cさんとします。

Aさんは、車を買おうと思いましたが、忙しいのでBさんに代理権を与えて代わりに買ってきてもらおうと考えていました。

そして、車屋であるCさんに、「車を買う代理権をBさんに与えたから、その時はよろしく。」と言いました。

でも、Aさんは、未だにBさんに代理権を与えていませんでした。

その後、Bさんは、代理権がないにもかかわらず、Cさんの所に行って「Aさんの代理人として、車を買いにきました。」と言いました。

そこで、Cさんは車を売りました。

さて、この場合はどうなるでしょうか。

99条の代理が成立して、売買契約の効果は本人であるAさんに帰属するでしょうか。

代理が成立するための要件を検討していきましょう。

1、本人のためにすることを示すこと(顕名)

Bさんは、「Aさんの代理人として、・・・」と言っているので顕名はあります。

2、代理人の法律行為が有効に存在すること

これは、例えば、詐欺や強迫(95条)などがある場合の要件です。

本件では、詐欺や強迫はありませんので、法律行為は有効に存在します。

3、代理権の範囲内にあること

これが本件では、問題になります。

本件では、Aさんは、まだ代理権をBさんに与えていませんので、Bさんには代理権がありません。

つまり、代理権の範囲内の行為とはいえません。

ですから、3の要件を欠き、本件契約は無権代理となり、本人であるAさんには帰属しません。

まず、これが大原則です。

しかし、Cさんからしてみれば、Aさんが前に「Bさんに代理権を与えるからよろしく」と言っていたから信用して車を売ったわけです。

にもかかわらず、契約が無効になるということになれば、あまりにもかわいそうですよね。

難しくいえば取引の安全が害されます。

そこで、本人が相手方に対して、「代理権を与えた」ということを言っていて、それを相手方が信用した場合(善意・無過失)、表見代理が成立し、契約は有効となり、その効果が本人に帰属することになります。これが、109条です。

■■ 豆知識 ■■

今日の豆知識は難しいので、聞き流していただいてもかまいません。

ただ、法律系の資格試験にはよく出題されますので、受験に興味のある方は覚えておいて損はないと思います。

代理権を与えたわけではなく、転々流通を予定した白紙委任状を交付した場合も、その白紙委任状の交付を授権表示と考えて、109条の表見代理が成立します。

■■ 編集後記 ■■

最近、FX(外国為替証拠金取引)に興味があって始めることにしました。

まだまだ、わからないことだらけですが、株よりも少額の資金で始めることができるようなので、一度挑戦してみようと思います。

もしかすると大損するかもしれませんが、ローリスク・ローリターンで堅実に資産運用を始めようと思います。

こういうのをやると勉強にもなりますからね。

また、報告します。

発行:株式会社シグマデザイン
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