第402号 2018・11・19

■■ はじめに ■■

みなさん。おはようございます。

今日も引き続き保証の解説です。

今回は、保証人が1人ではなく、2人以上の保証人が登場します。

427条の部分で解説した分割債権・債務の知識も必要になるので、そのあたりの知識があやふやな人は、ついでに、その部分も復習しておきましょう。

条文の内容自体はそれほど難しくありませんが、覚えておいた方がいい知識が少しあるので頑張っていきましょう。

それでは、さっそく始めていきます。

▼▼▼ 第456条(数人の保証人がある場合) ▼▼▼

数人の保証人がある場合には、それらの保証人が格別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。

■■ 解説 ■■

今回の456条は、保証人が1人ではなく2人以上いる場合の規定です。

「数人の保証人がある場合」というのは、2つのパターンがあります。

1つ目は、債権者との間で、数人が1個の契約で同時に保証人となる場合です。

例えば、債権者甲が債務者乙に150万円の金銭債権を持っています。

そして、その乙の債務を丙と丁が同時に1個の契約で保証したような場合です。

        150万円
  甲(債権者)-------------->乙(主債務者)
        -------------->丙(保証人)
        -------------->丁(保証人)

2つ目は、債権者と複数の保証人が順次に別々の契約で保証人になる場合です。

例えば、債権者甲が債務者乙に150万円の金銭債権を持っています。

そして、その乙の債務を丙が保証しました。

その後に、さらに丁が乙の債務を保証したような場合です。

        150万円
  甲(債権者)-------------->乙(主債務者)
        -------------->丙(1番目の保証人)
        -------------->丁(2番目の保証人)

このように2人以上の保証人がいる場合には、427条の規定が適用されます。

427条というのは、分割債権及び分割債務についての規定です。

427条の条文と解説はこちらで確認しておいて下さい。

https://www.mainiti3-back.com/g/371/

456条は保証債務についての規定ですので、427条の分割債務の規定が適用されます。

427条から分割債務に関する部分の文言だけを抜き出すと以下のようになります。鍵括弧で囲んだ部分が抜き出した条文の文言です。

「数人の」・・・「債務者がある場合において、別段の意思表示が無いときは、」・・・「各債務者は、それぞれ等しい割合で」・・・「義務を負う。」

つまり、保証債務においても、別段の意思表示が無いときは、各保証人はそれぞれ等しい割合で義務を負います。

先ほどの具体例で言えば、どちらの例でも、丙と丁は75万円(150万円/2人)ずつの保証債務を負うということになります。

その後、さらに戊が保証人に加わった場合、保証人が3人になります。

すると、丙、丁、戊はそれぞれ50万円(150万円/3人)ずつの保証債務を負うことになります。

このように複数の保証人がいる場合、それらの保証人を共同保証人というのですが、共同保証人が増えれば増えるほど、各保証人の負う負担は減っていくことになります。

この負担が減少する共同保証人の利益のことを分別の利益と言います。

分別の利益という言葉は時々出てくるので、覚えておきましょう。

■■ 豆知識 ■■

保証人が複数いる場合には、分別の利益が認められ、各保証人が平等の割合で保証債務を負担するのが原則ですが、3つの例外があります。

以下の3つの例外の場合には、共同保証人に分別の利益は認められず、各保証人ともに債務の全額を負担します。

1.主たる債務が不可分のとき。

2.共同保証人が相互に連帯の特約をして、分別の利益を放棄したとき。(これを保証連帯と言います。)

3.数人の保証人が連帯保証人であるとき。

1つ目の主たる債務が不可分のときというのは簡単ですね。

主債務が不可分なわけですから、保証債務も当然分割することはできませんよね。

2つ目は、427条の「別段の意思表示が無いときは」に対応しています。

共同保証人が、特約で分別の利益を放棄するという「別段の意思表示」をしているわけですから、分別の利益が失われます。

3つ目の連帯保証については、特に条文があるわけでは無いのですが、連帯保証の性質から分別の利益が無いと解されています。

これで今までに、連帯保証と通常の保証の違いが3つ出てきました。

催告の抗弁権(452条)、検索の抗弁権(453条)、そして、今回の分別の利益。

この3つが連帯保証には認められませんので、覚えておいて下さい。

ちなみに456条は改正されていません。

■■ 編集後記 ■■

今回も条文の内容を理解するのはそれほど難しくなかったと思います。

ただ、「共同保証人」、「保証連帯」、「分別の利益」という言葉は、新しく出てきた言葉なので、覚えておかなければなりません。

また、通常の保証と連帯保証の3つの違いも覚えておかなければなりません。

催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益ですね。

似ている言葉があるので、少し覚えにくいかと思いますが、民法は次々に覚えなければならないことが出てきますので、後回しにせずにこの機会にしっかりと覚えておいて下さい。

それでは、次回もお楽しみに。

発行:株式会社シグマデザイン
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