第398号 2018・11・14

■■ はじめに ■■

みなさん。こんにちは。

今日は民法452条の解説です。

今日も内容は難しくありませんが、連帯保証との比較として、試験に時々出題される知識ですので、覚えてしまいましょう。

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最大のメリットは、簡単に持ち運べるので、いつでもどこでも仕事も勉強もできる事ですね。

これは本当に大きいです。

ということで、さっそく解説を始めていきましょう。

▼▼▼ 第452条(催告の抗弁) ▼▼▼

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

■■ 解説 ■■

条文のタイトルにもあるように、いわゆる催告の抗弁権を定めた条文です。

446条の保証人の法的性質のところでも解説したように、保証人には補充性が認められます。
第446条(保証人の責任等)Part2 → https://www.mainiti3-back.com/g/392/

主債務者が債務を履行しない時に、はじめて保証人は債務を履行する責任を負います(446条1項)。

その補充性の表れの1つですね。

例えば、甲が乙に100万円の債権を持っていたとします。そして、その乙の債務を丙が保証したとします。

    100万円
  甲----------------->乙(主債務者)
   ----------------->丙(保証人)

この時に、甲が乙より丙の方がお金を持っていると思って、主債務者の乙に履行の請求をせずに、いきなり保証人の丙に履行の請求をしてきたとします。

その時に、保証人の丙は、まず最初に主債務者の乙に履行の請求をするように債権者甲に請求することができるということです。

これが催告の抗弁権です。

注意しなければならないのは、この催告の抗弁権は、債務の存在を否認できるということではなく、債権者が主債務者に催告をするまで一時的に債務の履行を拒絶することができるということに過ぎないことです。

そして、債権者の催告は、裁判上の請求である必要はなく、裁判外の催告で足ります。また、催告の結果、主債務者が弁済したなど、なんらかの効果があったことも要しません。

簡単に言うと債権者としては、とりあえず主債務者に催告だけすれば、それでよいわけです。

したがって、保証人としては、この催告の抗弁権は、自分の債務を免れるという意味においては、ほとんど実効性のない権利ということになります。

なお、債権者が主債務者に対する催告を怠ると一定の不利益を受けますが、それについては後ほど455条の部分で解説します。

ここまでが本文です。次に但し書きです。

「主たる債務者が破産手続き開始の決定をうけたとき」または「その行方がしれないとき」は保証人に催告の抗弁権は認められないことを規定しています。

この2つの場合には、主債務者に対して催告することを債権者に要求しても無意味だからですね。

主債務者が破産している場合には、履行の催告をしても当然お金を払ってもらえないわけですし、債務者の行方がしれない場合には、そもそも催告できませんよね。

ということで、これらの2つの場合には保証人の催告の抗弁権が認められません。

■■ 豆知識 ■■

この催告の抗弁権は、通常の保証ではなく、連帯保証の場合には、認められません(454条)。

連帯保証人の負担は通常の保証によりも重いわけです。

この知識はよく出題されますので、覚えておきましょう。

■■ 編集後記 ■■

今回も条文の内容を理解するのはそれほど難しくなかったと思います。

本文については、保証の法的性質の1つである補充性から導きだせます。

但し書きの2つの場合についても、催告の抗弁権の趣旨を考えれば、この2つの場合には催告の抗弁権を認めることが無意味だからというのがすぐに分かるとおもいます。

このように、基本的な法的性質や趣旨を理解していれば、暗記しなければならないことを減らせるというメリットもあるし、関連付けて覚えることができるので記憶が定着しやすいというメリットがあります。

人間というのは、なにかと関連性を持っていることに関しては、なぜか記憶しやすいのですね。

子供の時に「いい国(1192年)作ろう鎌倉幕府」とかやりましたよね。

歴史の勉強で年表を覚えるのに語呂合わせを作ったのと同じことですね。

民法でも、ややこしいけど、知識として絶対にまとめて覚えておかなければならない部分がたくさんあるのですけど、語呂合わせとか趣旨から考えるということをすれば、丸暗記する必要が無く、意外とすんなりすぐに覚えることができます。

その点については、また、出てきたときにでも追々説明しますね。

それでは、次回もお楽しみに。

発行:株式会社シグマデザイン
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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

(裏編集後記)

いよいよ明日バトルフィールド5がプレイできるようになります。

既に先行プレイでやっている人の感想とかを聞いているとかなり面白いらしいので楽しみです。

個人的には、マルチプレイよりシングルプレイのストーリーを楽しみにしています。

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