第391号 2018・10・24

■■ はじめに ■■

みなさん。おはようございます。

今日から、保証(446条)の解説に入ります。

皆さんも誰かから「絶対に他人の保証人にはなるな。」という忠告を聞いたことがあるかもしれませんが、その保証です。

保証人になったために、大変な目にあったという人もたくさんいます。

まさにミナミの帝王とかナニワ金融道の世界です(笑)

確かに、危険な面もあるのですが、経済をうまく発展させるためには有用な制度です。

そんな大事だけど、ちょっと怖い保証についてこれから勉強していきましょう。

保証の分野は、民法の中でも特に勉強していてよかったと思える分野だと思いますので、楽しみにしていて下さい。

保証は大事な制度ですので、解説することがたくさんありますが、今回は概要だけ説明しますので、それほど難しくありません。

それでは、さっそく始めていきましょう。

▼▼▼ 第446条(保証人の責任等) ▼▼▼
1項
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2項
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3項
保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

■■ 解説 ■■

まず、1項です。

条文を読めば分かると思いますが、保証の定義について規定している条文です。

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しない場合に、その債務を主たる債務者に代わって履行すべき責任を負います。

いつものように具体例で説明します。

債権者Aが債務者Bに100万円の債権を有しているとします。

そのBのAに対する100万円の債務をCが保証したとします。

           100万円(主債務)
  A---------------------->B
                保証債務
    ---------------------->C

この時に、BがAに対して負っている債務を主債務と言い、Bのことを主債務者と言います。

そして、CがAに対して負っている債務を保証債務と言い、Cのことを保証人と言います。。

このような状況で、Aは弁済期になるとBに対して100万円請求するわけですが、Bが自己破産するなどして支払うことができなくなったとします。

すると、Aは保証人であるCに対して100万円を請求することができるのです。

Cは、Aから100万円を借りたわけでもないのに、保証人になったというだけで、100万円を支払う義務を負ってしまうのです。

これが保証であり、466条1項が規定していることです。

要するに、保証は、抵当権(369条)などの担保物権と同じように債権の履行を確保するための手段の1つなのです。

保証が抵当権などの担保物権と違うのは、抵当権が土地や建物などの「物」の価値をあてにしているのに対して、保証は、「人」の財産をあてにしている点です。

このことから、抵当権などの担保物権を「物的担保」と言い、保証を「人的担保」と言います。

次に2項です。

保証債務は、債権者と保証人を当事者とする保証契約によって成立します。

先ほどの具体例で言うとAとCが当事者です。

主債務者に頼まれたかどうかは関係ないので注意して下さい。

実際問題としては、債権者が主債務者に保証人を付けるよう要求し、主債務者がそれに応じて、誰かに保証人になってもらうようにお願いするというパターンが多いでしょう。

しかし、保証契約の当事者はあくまで債権者と保証人です。

保証人は、主債務者から頼まれなくても、自らの意思で債権者と保証契約を結ぶこともできるのです。

その債権者と保証人の保証契約は書面でしなければならないと規定しているのが2項です。

この2項の趣旨は分かるでしょうか?

保証人の責任は非常に重いことから、書面でしなければならないという要式行為を要求することで、保証人になろうとする者に、契約内容を十分に理解させ、慎重に保証人にならせようという趣旨です。

契約書という形で、保証の内容が書いてあって、サインや印鑑を求められると、契約する時に慎重になるだろうということです。

最後に3項ですが、これは、ほとんど2項と同じです。

紙ではなくパソコンで契約書を作ったような場合です。

よく街で見かける消費者金融の無人契約機などのイメージですね。

私は使ったことがないので分かりませんけど、あれって多分画面だけで契約が成立して紙は出てきませんよね。

間違ってたらすみません。

■■ 豆知識 ■■

保証には、今回説明していない非常に重要な法的性質があります。

別個独立性、同一内容性、付従性、随伴性、補充性という5つの法的性質があります。

このことについては、次回解説します。

ちなみに、改正民法では3項が少しだけ改正されています。現行民法よりもすっきりした言い方になっていますが、内容的には同じです。

念のために改正民法の条文も掲載しておきます。

【改正民法 446条(保証人の責任等)】
1項
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2項
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3項
保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

■■ 編集後記 ■■

今回は、保証の基本的な定義について説明しました。

内容としては難しくなかったと思います。

保証は、民法の中でも重要テーマの1つですので、出来るだけゆっくりと丁寧に解説していきたいと思います。

実社会でも、本当に人の人生を左右するような制度ですので、絶対に知っておかなければならない知識もたくさんあります。

法律なんかに興味がないよ!という人でも、この部分だけは勉強しておくと良いことがあるでしょう。

それでは、次回もお楽しみに。

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