第387号 2018・9・7

■■ はじめに ■■

みなさん。こんにちは。

台風とか地震で、大変なことになっていますが、皆さんは大丈夫でしょうか?

北海道では、まだ停電している場所がたくさんあって本当に大変だと思いますが、なんとか頑張って乗り越えられることをお祈り申し上げます。

さて、前回から求償の条文の解説に入ってきました。

今回は、民法443条の解説なのですが、一定の場合に求償の範囲が制限される場合があることについて定めた条文です。

まだ解説していない不当利得について理解できていないと、かなりややこしい話ですが、なんとか頑張ってついてきて下さい。

不当利得については、後ほどその条文のところで解説しますが、要するにどのようにするのが公平かという観点から考えるとスッキリすると思います。

443条は、試験でも時々出題される条文なので、基本的な部分だけはしっかりと理解しておくことが必要です。

解説が少し長くなるので、443条は2回に分けて解説していきます。

今回は1回目と言うことで、1項だけ解説します。

それでは、早速始めていきましょう。

▼▼▼ 第443条(通知を怠った連帯債務者の求償の制限) ▼▼▼
1項
連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2項
連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。

■■ 解説 ■■

前回解説したように、連帯債務者の一人が、弁済等により連帯債務を消滅させた場合、他の連帯債務者に求償することができます。

ただ、その場合に、事前の通知と事後の通知をしなければ、求償の範囲が制限されるということを定めたのがこの443条です。

1項が事前の通知を怠った場合の規定、2項が事後の通知を怠った場合の規定です。

今回は、1項の事前の通知を怠った場合の規定について解説します。

条文だけを読んでも難しいと思うので、具体例をあげて説明します。

BとCがAに対して100万円の連帯債務を負担しているとします。


   100万円
A---------->B
---------->C

この時に、BもAに対して100万円の債権を持っていたとします。


   100万円
A---------->B
   100万円
 <----------
 ---------->C

そして、CはAから請求を受けたので、100万円の弁済をしたのですが、その時に、Bに対して事前の通知をしていませんでした。

事前の通知というのは簡単に言うと、「Aから請求を受けたので100万円支払いますよ。」と言うことを、弁済する前にBに伝えると言うことです。

Bとすれば、もしその通知を受けていれば、Aに対する債権を自動債権として相殺をすることができたわけです。これは相殺についての解説をしていないので、まだちょっと分かりにくいかもしれません。

連帯債務において、誰かが弁済するというのは、絶対効が生じるので、他の連帯債務者にとっても非常に大事なことなんですね。

だから、民法は事前の通知と事後の通知を要求しているのです。

CがAに対して100万円全額の弁済をしたので、絶対効により、B、CのAに対する連帯債務は消滅します。

Cは自己の負担部分である50万円(100万円/2)を超えて弁済しているので、Bに対して50万円の求償をすることができます。

この時に、BはAに対して持っている債権を使って、Cの求償権と相殺することができるのです。

CはBに相殺されると50万円を受け取ることができません。

他方で、AはBに対して負っていた100万円の債権が50万円に減少しています。

したがって、Aには50万円の利得が発生し、Cには50万円の損失が発生しています。

そこで、CはAに対して50万円の不当利得返還請求(703条)をすることになります。

なんかぐるぐる回っているだけのように思えるかもしれませんが、これはどういうことかと言うと、Aが弁済を受けた後に無資力になった場合、そのAの無資力の危険をCが負担することになるということです。

Bは相殺をすることによって、債権を強制的に回収することができたわけですが、CはAが無資力の場合債権を回収することができなくなる危険性があります。

これが443条1項に書いてある、事前の通知を怠った場合に求償権の範囲が制限されるという意味です。

他にも条文には細かいことが書いてありますが、この基本的なことさえ理解できていれば今の所は十分です。

不当利得、相殺についてまだ解説していないので、分かりにくかったと思います。なので、今のところは、だいたいの流れを理解できていれば十分です。

■■ 豆知識 ■■

443条も少し改正されています。

改正民法では、存在を知らない連帯債務者に対して通知を義務づけると言うことはあまりにも酷であることから「他の連帯債務者があることを知りながら」と言う要件が付加されました。

また、事前通知は債権者から請求を受けたことよりも、弁済等をすること自体に意味があることから、「債権者から履行の請求を受けた」かどうかに関わらず事前の通知が必要とされました。

さらに、現行民法443条1項の第2文は「過失のある」連帯債務者としていますが、事前通知を怠ったこと自体「過失」があることになるので、「過失のある」という文言は不要であるとして削除されました。

参考のために快晴民法の条文を掲載しておきます。

【改正民法 443条】
1項
他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の一人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、その連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2項
弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができる。

■■ 編集後記 ■■

今回の条文の解説は、かなりややこしかったと思います。

不当利得、相殺についての理解が進めばこの443条の理解も進むのですが、まだ解説していないので、今はよくわからないと覆います。

今の段階では、基本的な考え方さえ理解できれば十分かと思います。

今回は1項だけ解説したので、次回は2項の解説をしたいと思います。

もし余裕があれば、505条の相殺、703条の不当利得の条文くらいは読んでおいていただければ、少しは理解しやすくなるかもしれません。

それでは、次回もお楽しみに。

発行:株式会社シグマデザイン
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