第383号 2018・5・29

■■ はじめに ■■

みなさん。おはようございます。

連帯債務の絶対効についての説明に入っています。

履行の請求、更改、相殺、免除、混同と説明してきましたよね。

今日は最後の6つ目の時効です。

基本的には、今までと考え方は同じなので、さらっと解説してきます。

それでは、早速始めていきましょう。

▼▼▼ 第439条(連帯債務者の一人についての時効の完成) ▼▼▼

連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

■■ 解説 ■■

今まで連帯債務の絶対効に関する条文を解説してきたので、考え方がだいぶ理解できるようになっていると思います。

この条文は、連帯債務者の一人に時効が完成した場合、その連帯債務者の負担部分についてのみ絶対効が生じて他の連帯債務者にも影響が生じるという事です。

例えば、B、C、Dが債権者Aに対して300万円の連帯債務を負っているとします。負担割合は平等とする。

この時に、AがBに対して請求することができるようになってから10年が経過し、Bについてだけ消滅時効が成立し、Bが消滅時効を援用したとします(166条1項、167条1項)。

消滅時効については以前に紹介しましたので、分からない人は166条と167条の部分を読んでみて下さい。

↓166条
https://www.mainiti3-back.com/g/140/

↓167条
https://www.mainiti3-back.com/g/141/

負担割合は平等ですので、Bの負担部分は100万円です(300万/3)。

このBの負担部分である100万円について絶対効が生じるので、300万円の連帯債務が200万円に減少し、Bは連帯債務者から免れます。

結果として、CとDが200万円の連帯債務を負担するということになります。

これが439条です。

連帯債務についての消滅時効は、負担部分について絶対効と覚えておいて下さい。

■■ 豆知識 ■■

今日の豆知識も改正民法についてです。

改正民法では、439条は削除され、連帯債務者の一人について生じた消滅時効は絶対効から相対効に変更されています。

その理由は以下のようなことが考えられているようです。

先ほどの事例で、債権者AはB、C、Dの誰に対しても300万円の全額を請求できます。

この時に、BとCはほとんど金を持っておらずBとCから300万円を回収することは不可能だとAは考えていました。

他方で、Dはたくさんお金を持っているので、Dに狙いを定めてDから全額回収をしようと考え、Dにだけ注目して履行の請求をするなどしていました。

そうこうしている間に、金を持ってないからどうせ回収できないだろうということで無視していたBとCの消滅時効が完成してしまい、BとCが援用してしまいました。

するとBの負担部分である100万円とCの負担部分である100万円について絶対効が生じます。

現行民法の439条によると、絶対効が生じて合計200万円が時効によって消滅してしまいますので、AはDに対して100万円しか請求することができなくなってしまいます。

連帯債務者全員について、しっかりと管理しておかなかったAが悪いと言えば、それまでなのですが、ちょっとかわいそうですよね。

ということで、改正民法では、一人の連帯債務者について消滅時効が完成しても、相対効に留まるということになりました。

消滅時効の効力が相対効になるとどうなるかというと、さきほどの事例でBに消滅時効が完成した場合、AとBとの関係でのみ相対的に消滅時効が完成したことになるので、AB間においては債権債務は消滅します。

ただ、それはCやDとの関係では何ら関係のない事なので、その後にCやDが300万円の全額を弁済した場合、弁済した者はBに対して負担部分である100万円を求償することができます。

この求償できるということが改正民法では、新たに条文で明文化されています。

せっかくですので、その条文を掲載しておきますね。

【改正民法 445条】
連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し、第四百四十二条第一項の求償権を行使することができる。

■■ 編集後記 ■■

今日は今までに解説してきたことが理解できていれば、難しくはなかったはずです。

ただ、絶対効と相対効というのが理解できるまでは難しいと思います。

特に相対効は、詐害行為取消権でも出てくる概念ですが、その後の具体的な処理がややこしくて、こんがらがってくることが多いです。

何回もやっているうちに慣れてくるので、今すぐに理解できなくても大丈夫です。

それでは、次回もお楽しみに。

発行:株式会社シグマデザイン
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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

(裏編集後記)

今このメルマガを書いているのが、朝の5時です。

書き終えたら、ジムに行って筋トレとランニングをしてリフレッシュしてきます。

私の知っているお金持ちさんは、ほとんど全員が筋トレしてます。

腹が出ている人は見たことがないですね(笑)

オバマ前大統領もそうだけど、アメリカ人って体を鍛えるのが好きですよね。

中国人も朝にみんなで集まって、公園で太極拳とかいろんな事をしています。

世界のトップ2大国の国民はみんな朝の運動が大好きなんですね。

朝一に筋トレとか有酸素運動をすると、その後脳が活発化するらしいのですが、エリート層の人たちはそれを分かって実践しているんでしょうね。

朝からバリバリ筋肉を鍛えて、有酸素運動をして心身ともに活性化させてから、仕事や勉強にとりかかっているのです。

朝、出社時間ギリギリにボーっとした頭で眠たそうな顔をして出勤する人はダメらしいです(笑)。

スティーブ・ジョブズも大切な話をするときは、歩いて散歩しながらするらしいし、ソフトバンクの孫正義さんも会議中はトレッドミル(ランニングマシン)で走りながら参加してるらしいですよ。

ということで、私もできるだけ早朝にジムで運動するようにしています。

腰痛とか肩こりが本当に楽になったし、有酸素運動のあとは頭もスッキリするし良い効果が出ている気がします。

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