第379号 2018・5・23

■■ はじめに ■■

みなさん。おはようございます。

今日も連帯債務の解説です。

今、解説している多数当事者の債権債務関係は、法改正でかなり内容が変更されている部分なので、ちょっと面倒ですが、とりあえず現行法で覚えてしまって下さい。

今回の条文はそれほど難しいものではないので、さらっと読んでいただけると思います。

今日は特に前置きになる話も無いので、解説に入りたいと思います。

それでは、早速始めていきましょう。

▼▼▼ 第435条(連帯債務者の一人との間の更改) ▼▼▼

連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

■■ 解説 ■■

前回の解説で相対効と絶対効について解説しました。

条文を読んでいただければすぐ分かると思うのですが、この民法435条は、連帯債務者の一人と債権者との間で更改があったときに、絶対効が生じるということを規定しています。

更改というのは、民法で定められている契約の中の一つで513条で定められています。

更改は、簡単に言うと、前の契約と同一性を有しない新たな契約をする事です。

詳しい解説は513条が出てきた時にします。

例えば、B、C、DがAに対して300円の連帯債務を負っているとします(負担割合は均等)。

この時に、債権者Aと連帯債務者の一人であるBとの間で、300万円の債務の代わりに、300万円相当の車を引き渡すという新たな契約をしたとします。

これが更改です。

この更改がなされると絶対効が生じて、他の連帯債務者であるCとDとの間でも、以前の300万円の連帯債務が消滅するということです。

更改についてまだ解説していませんが、相対効と絶対効の意味さえ分かっていれば、内容としては条文に書いてある事そのままなので難しい事は特に無いと思います。

連帯債務において更改は絶対効と覚えておきましょう。

■■ 豆知識 ■■

連帯債務に似ているものとして以前に不可分債務というのを解説しました(430条)。

430条の条文を読んでいただければ分かるのですが、不可分債務については連帯債務の規定が準用されています。

ただし、括弧書きで「434条〜440条までの規定は除く」と規定されています。

つまり、連帯債務についての絶対効を定めている条文である434条〜440条までは不可分債務について準用されません。

したがって、今回解説した更改についても、連帯債務においては絶対効が生じるが、不可分債務については相対効であり、他の債務者に何ら影響を与えないということになります。

こういう細かい所が試験では時々出題されるので、注意して覚えておきましょう。

条文を正確に読み解く練習になるので、条文をしっかり読み込んでみて下さい。

それから、さらにややこしいのですが、改正民法においては、更改は不可分債務についても絶対効になっています。

現行民法では括弧書きで連帯債務の絶対効を定める条文が全て除外されているのですが、改正民法では括弧書きで除外されている条文が混同のみになっています。

今は気にしなくてもいいのですが、将来のことも考えて一応改正民法の条文を載せておきます。

【改正民法 430条】
第四款(連帯債務)の規定(第四百四十条の規定を除く。)は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。

■■ 編集後記 ■■

ちょっと細かい話で難しいと思われた人もいると思います。

内容的には難しい事は無いのですが、覚えるのが面倒という部分ですね。

最終的には、この多数当事者の債権債務関係の相対効と絶対効については一覧表にして覚えることになります。

今の段階で条文だけ読んでても難しいと思うのですが、表にして覚えてしまってから条文を読むとスッキリすると思います。

条文を正確に読み解く訓練だと思って、頑張りましょう。

会社法とか刑事訴訟法とかも、いろんな条文を行ったり来たりしなければならないので、条文を読み解く練習というのは必ず役立ちます。

それでは、次回もお楽しみに。

発行:株式会社シグマデザイン
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(裏編集後記)

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発売は半年くらい先だと思うけど、今から楽しみです。

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