第370号 2015・11・27
■■ はじめに ■■
みなさん。おはようございます。
今日で詐害行為取消権の解説は終わりです。今回は簡単な条文ですので、さらっと終わらせてしまいましょう。
最近、個人的に面白かった本を1冊紹介します。
もう読んだ人もいるかもしれませんが、村上春樹の「職業としての小説家」です。
彼は長編小説を書く時は、必ず毎日400字詰原稿用紙にして10枚分を書くようにしているらしいです。
書ける時にたくさん書いて、書けない時は書かないというのではなくて、必ず毎日10枚書くようにするのです。
長い仕事をする時には、規則性というのが何より大事らしくて、それを維持し続ける事で良い作品が書けるという事を言っていました。
これは受験勉強でも何でも同じですね。
先輩や友達の成功話を聞いたり、自己啓発的な本を読んだりして、頭がカーっとなってやる気がみなぎって、1週間くらいはめちゃくちゃ頑張る。
でも、しばらくするとすぐに冷めてきてやらなくなる。ちょっと休んで、やっぱりこれではダメだと思ってまた再開する。
というように、毎日やらない人は成長が遅いですね。(私自身の事です。)
やる日があったりやらない日があったりするというのは本当にダメだと思います。
必ず毎日やるという事を継続していれば、どんどん能力が成長します。
それから、もう1つ。やる気とか継続力を身につけるためにはフィジカルの強さが必要という事も言ってました。
彼は毎日10キロくらい走って体を鍛えているらしいです。
これもすごく同意できます。自分自身でも感じる事ですけど、体が弱っているときとか運動不足の時って精神も弱ってくるし、机に何時間も向かって勉強するという持続力が減退するような気がします。
運動が脳に良い影響を与えるというのは科学的にも証明されているようなので、みなさんもやる気が出ないとか集中力が続かないという人は日々の中に少し運動を取り入れてみるといいかもしれませんよ。
村上春樹が好きな人はもちろん、そうで無い人も一流の作家の頭の中が覗ける興味深い本ですのでぜひ読んでください。勉強や仕事の仕方で参考になる部分がたくさんあります。
↓「職業としての小説家」村上春樹
運動と脳の関係について詳しく知りたい人には「脳を鍛えるには運動しかない!」という本がおすすめです。
アップルのスティーブ・ジョブズも重大な決断をする時はいつも散歩をしながら決めていたというのは有名ですよね。
彼は直感で運動していると脳が活性化して良い決断ができるということを知っていたのでしょう。
↓「脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方」John J. Ratey
それでは、さっそくはじめましょう。
▼▼▼ 第426条(詐害行為取消権の期間の制限) ▼▼▼
第424条の規定による取消権は、債権者が取消の原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
■■ 解説 ■■
この条文は、前段で詐害行為取消権の消滅時効、後段で除斥期間を定めています。
趣旨は分かりますよね?
趣旨は法律関係の早期安定です。
詐害行為取消権は債権者代位権と違って、受益者や転得者との関係で遡及効のある取消をする事になりますので、取引安全を考慮しなければなりません。
いつまでも取消されるかもしれない不安定な状態になっていると法律関係が安定しませんので、詐害行為取消権に期間制限を設けているのです。
ちなみに、前段の「債権者が取消の原因を知った時」というのは、債務者の行為が債権者を害するものであることを知った時です。
他方で債権者代位権は、債務者が本来有している権利を代わりに行使するだけなので、取引安全の配慮が必要ありません。
したがって、債権者代位権については法律関係の早期安定という趣旨が当てはまりませんので、425条は423条を含めていません。
■■ 豆知識 ■■
久しぶりに除斥期間が出てきましたが、時効との違いが4つありましたよね。
これは超基本的な知識なので、すぐに4つを言えなければなりません。
もし、民法の勉強をしている人で、この4つがすぐに思い出せないという人は、基礎的な知識の暗記ができていないと思った方がいいです。
重要な基礎的知識については、必ず暗記しておきましょう。
答えは、以下の4つです。
- 援用不要
- 遡及効無し
- 起算点が権利の発生時
- 中断無し
■■ 編集後記 ■■
今回は簡単な条文なのでちょっと楽でしたよね。
ただ、知識としては試験でも時々出題されますので、「知った時から2年、行為の時から20年」というのは覚えておいて下さいね。
今回で詐害行為取消権の解説は終わりです。
最後にまとめとして、1つ問題を出題しますので、一度自分で考えてみて下さい。
2014年の行政書士試験の過去問です。
【問題】
Aは複数の債権者から債務を負っていたところ、債権者の一人で懇意にしているBと相談の上、Bに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した。その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。この場合において、Aの他の債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか。判例の立場を踏まえて40字程度で記述しなさい。
全く解説していない事も含まれていますので難しいかとは思いますが、次回ちょっと解説するので自分なりに答えを一度書いてみて下さい。
この問題を見ても分かるように、行政書士試験の民法は難易度が上がってきているように思います。たぶんこれからの行政書士試験は民法が合否を分けるポイントとなってくるでしょう。
それでは、次回もお楽しみに。
発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/
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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。
(裏編集後記)
最近、行政書士の開業とか業務のやり方をいろいろと調べています。
まだ行政書士の資格を使って開業するか何をするか分かりませんが、もし行政書士の業務を始めたとしたら、士業の実際の日常などもお伝えできると思います。
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