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憲法は国家権力を制限し、国民の権利自由を守る基礎法

■■ はじめに ■■

みなさん。こんにちは。

現在、衆議院選挙の真っ只中ですね。2日ほど前に、大手メディアが世論調査の結果を発表しました。

その結果は、自民党が単独過半数を取る勢いだとのことです。

みなさんの中にも自民党の熱烈な支持者がたくさんいると思います。

政治って宗教に近いものがあって、議論しても無駄な事が多いです。

論理とか理屈の世界ではなく、その人の哲学とか感情の問題なので、論理では解決できないのだと思います。

だから、私の個人的な意見を言うつもりはありません。

ただ、客観的な事実を少し分かりやすくお伝えしたいと思います。

安倍さんが、国防軍とか集団的自衛権の行使を認めるとしきりに言っていますが、その根拠になっているのが自民党の発表した「日本国憲法改正草案」です。

↓ここで全て見ることができます。
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

これは、本当にひどいものです。少しでも近代憲法、立憲主義の憲法を勉強した事がある人なら笑っちゃいそうになるような内容です。

でも、このような内容への憲法改正が世論調査を見る限りではかなり現実的になってきているのです。

決して笑い事ですまされる話ではありません。

投票日まであとわずかでが、誰に入れるのか、どの政党に入れるのか、もう一度自分の頭で考えてみて下さい。

▼▼▼▼▼▼

今日は条文の解説はありません。

■■ 解説 ■■

【改正草案102条】

すぐに目につくのが102条です。どういう趣旨でこんなものが出来たのか理解に苦しみます。

条文を見てみましょう。

102条(憲法尊重擁護義務)
1項
全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2項
国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員はこの憲法を擁護する義務を負う。

対して、現行憲法は以下のようになっています。

99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

違いが分かるでしょうか?

この99条(改正案102条)は、憲法尊重擁護義務を定めている条文です。最高法規ですから尊重し擁護しなければならないのは当たり前なのですが、その対象が問題なのです。

現行憲法では、憲法を尊重擁護しなければならない対象として「国民」が入っていないのです。他方で改正草案には、1項で明確に「国民」と書かれています。

現行憲法では、「国民」という言葉を書き忘れたわけではなく、意図的に「国民」という言葉を入れていないのです。

要するに現行憲法では、国民には憲法に従う義務がないのです。

その理由を説明します。

憲法とは、国家権力を制限して、国民の権利自由を守ることを目的とした国家の基礎法です。

世の中には、星の数ほどの法が存在します。

憲法、民法、刑法、道路交通法など、挙げればキリがありません。

全て「法」なのですが、憲法とそれ以外の法というのは根本的に性質が異なっています。

難しい言葉で言えば、規範の名宛人が違うのです。

簡単に言うと、その法律は誰に対して命令しているのかという事です。

分かりやすく刑法を例に考えてみましょう。

刑法199条には殺人罪が規定されています。

刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

この条文は、誰が誰に対して命令していますか?

簡単ですよね。

国家が国民に対して「人を殺すな」と命令していますよね。

これが法なのです。国家が社会秩序を維持するために、国民に「これをするな。あれをするな。」と命令しているのです。

道路交通法にしてもそうです。国家が国民に対して様々な命令をしています。

「高速道路では100キロ以上スピードを出すな。」

「赤信号では止まれ。」

「横断歩道では一時停止しろ。」

などなど。

規範の名宛人が国民なのです。

しかし、憲法だけは違います。

憲法の規範の名宛人は国家です。国民が国家に対して命令するのが憲法なのです。

いくつか例を挙げます。

13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

国民が国家に対して「オレたちを尊重しろ。」と言っていますよね。

14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

国民が国家に対して「私たちを平等に扱え。」「性別などで差別するな。」と命令していますよね。

これが憲法の本質なのです。

もう一度、憲法の定義を確認しましょう。

憲法とは、国家権力を制限して、国民の権利自由を守ることを目的とした国家の基礎法である。

「国家権力を制限」「国民の権利自由を守ることを目的」となっていますよね。決して国民に対して何らかの制限をかけるものでは無いのです。

これで憲法という法が理解できたと思います。

憲法の本質を本当に理解しようと思えば、中世のヨーロッパあたりまで時計の針を戻して、そこから現在まで辿ってくる必要があります。

それを解説すると、延々と長くなってしまいますので、またの機会にします。

とにかく、大事な事は憲法というのは、国家権力を制限するものであって、国民に遵守する義務は無いということです。

これが近代憲法の本質なのです。

過去を振り返ると、ほとんどの人権侵害というのは国家・警察権力によって行われてきたのです。

その過去の反省から、国民の権利を守るためには国家権力に歯止めをかける必要があると、世界中の人たちが学んできたのです。

そういう背景を元に、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカなどの国が近代憲法、立憲主義に基づく憲法を制定してきたのです。

その流れの延長で、敗戦後に幣原喜重郎やマッカーサーが様々な意見を摺り合わせながら妥協点を見いだし制定されたのが現在の日本国憲法なのです。

自民党の憲法改正草案102条は、こういった歴史の流れに真っ向から反するものです。

国家による国民の人権侵害が簡単に行える憲法に改悪しようとしているのです。

国民に憲法を守る義務は無いのです。これは、憲法を勉強した事がある人なら誰でも知っていることです。

最近では、大阪以外で全く相手にされずしぼんだ風船のようになっている橋下徹でさえテレビではっきりとそのように言ってましたよ。彼は一応弁護士なので知ってて当然ですが。

この改正草案102条の1つだけを取り上げてみてもわかる通り、自民党は根本的な思想としては、完全に全体主義なのだと思います。

国民一人一人よりも国家の方が大事だということです。

もう一つ、現行憲法と改正草案で異なる部分があります。

それは、憲法尊重擁護義務の対象から天皇と摂政が外れていることです。

これは私の推測ですが、おそらく趣旨は、敗戦した時の天皇の戦争責任を否定することでしょう。

太平洋戦争の戦後処理の際に、天皇陛下の戦争責任というのがかなり問題になりました。アメリカ側は、当然最高司令官としての責任を追求し死刑にしようとしていました。

しかし、GHQによる占領政策を行う上で、国民の尊敬の対象となっていた天皇陛下を死刑にすると、国民の反米感情を高めてしまい統治が難しくなると考え、天皇陛下の責任を追求しませんでした。

そのような事があったので、憲法尊重擁護義務から天皇や摂政を外したのではないかと思います。

万が一敗戦した時に、天皇と摂政は憲法を遵守する義務が無く、憲法に従って行動したわけではないので、何の責任も無いですよ、と言いやすいですよね。

これはうまく考えたと思います。穿った見方をすれば、戦争をする気が満々で、敗戦した時のことまで考え尽くされているとも取れますが、自民党もそこまでひどくはないでしょう。

今日は、これくらいにしておきます。他にもたくさんの問題があって、特に9条は最悪です。

また、時間があれば書きますが、一言で言えば戦争ができる要件が緩すぎます。

国防軍の創設とか集団的自衛権の行使など、ほんとすごいですよ。

たぶん世間で自民党を支持している人の大半が、この憲法改正草案を読んだことがないと思います。というか、現行憲法すら読んだことが無い人たちが多いと思います。

一度、読んでみて下さい。

自民党憲法改正草案
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

大げさでも極論でもなく、本当に簡単に戦争ができる憲法ですよ。

そして今日書いたことは、時々私の個人的な感情が文章の節々に出ているかもしれませんが、基本的には客観的な単なる事実です。

自民党の公式ホームページで正式に発表されているものを引用しただけです。

憲法の解説に関しても、憲法のテキストを読めば最初の10ページ目までには必ずどの本にも書いてある事です。

誰に投票するのか?どの政党に投票するのか?

人に言われたからとか、マスコミが言っていたからとかではなく、徹底的に自分で調べて自分の頭で考えてみて下さい。

今は、インターネットがあります。自民党や民主党、その他の党の公式ホームページを隅々まで見て、調べて、考えましょう。

■■ 豆知識 ■■

今回は豆知識はありません。

■■ 編集後記 ■■

今日は、民法とは関係のない話でしたが、大事な大事な選挙ですので、このような内容で発行しました。

今の憲法に関しては、自民党やら一部の有識者が「押しつけ憲法論」というのを声高に主張しています。

みなさんも聞いたことがあるかもしれません。

GHQと協力して、今の日本国憲法の制定に尽力した当時の内閣総理大臣幣原喜重郎さんが外交50年という本を出されています。

それを読めば、押しつけ憲法論というのがいかに説得力のないものなのかが分かると思います。

当時、憲法を作った張本人が以下のような言葉を残しています。全部引用すると怒られますので、一部だけ引用していきます。

「」の中はそのまま引用です。それ以外は、私の注釈です。

「戦後の混沌たる世相の中で、私の内閣の仕事は山ほどあった。中でも一番重要なものは新しい憲法を起草することであった。そしてその憲法の主眼は、世界に例のない戦争放棄、軍備全廃ということで、日本を再建するにはどうしてもこれで行かなければならんという堅い決心であった。」

憲法9条制定への強い思いが伝わってきます。

「... 私はこの光景を見て、深く心を打たれた。彼らのいうことはもっとも至極だと思った。彼らの憤慨するのも無理は無い。戦争はしても、それは国民全体の同意も納得も得ていない。国民は何も知らずに踊らされ、自分が戦争をしているのではなくて、軍人だけが戦争をしている。... 再びこのような、自らの意思でもない戦争の悲惨事を味わしめぬよう、政治の組み立てから改めなければならぬということを、私はその時深く感じたのであった。」

私は領土は何が何でも命がけでも守らなければならないものだと考えています。ただし、孫氏の兵法にも書いてあるように負ける戦はやってはいけません。国民全員が一致団結して戦争を戦い抜く覚悟ができてなければ必ず負けます。

この部分からは、当時の大多数の国民は戦争なんて望んでなかった事が分かりますよね。軍部が勝手に暴走したんです。

今も同じような雰囲気になっていると思います。威勢のいい事を言っている人が一部いますが、そういう人たちが、命を捨てて戦う覚悟を持っているとは到底思えません。

大多数の国民が、多くの国民の命を犠牲にしてでも戦争をするという覚悟ができているのであれば、そういう方向に向かって行くのもいいと思いますが、そうでなければ悲惨な結果になるだけです。

私は領土をみすみす取られてもいいなんて考えていません。ただ、日本国民に自分の子どもや孫の生命、財産を含めた全てを捨てて戦争に突入する覚悟ができていないのに、その方向に行こうとしていることが問題だと考えています。

「私は図らずも内閣組織を命ぜられ、総理の職に就いたとき、すぐに私の頭に浮かんだのは、あの電車の中の光景であった。これは何とかしてあの野に叫ぶ国民の意思を実現すべく努めなくてはいかんと、堅く決心したのであった。それで憲法の中に、未来永劫そのような戦争をしないようにし、政治のやり方を変えることにした。つまり戦争を放棄し、軍備を全廃して、どこまでも民主主義に徹しなければならないということは、他の人は知らないが、私だけに関する限り前に述べた信念からであった。それは一種の魔力とでもいうか見えざる力が私の頭を支配したのであった。よくアメリカの人が日本へやって来て、こんどの新憲法というものは、日本人の意思に反して、総司令部の方から迫られたんじゃありませんかと聞かれるのだが、それは私の関する限りそうではない、決して誰からも強いられたのではないのである。」

明確に押しつけ憲法論を否定している部分です。日本国憲法を作った当時の内閣総理大臣がはっきりとこのように言っているのです。

「軍備に関しては、日本の立場からいえば、少しばかりの軍隊を持つことはほとんど意味がないのである。将校の任に当たってみればいくらかでもその任務を効果的なものにしたいと考えるのは、それは当然のことであろう。外国と戦争をすれば必ず負けるに決まっているような列弱な軍隊ならば、誰だって真面目に軍人となって身命を賭するような気にはならない。それでだんだんと深入りして、立派な軍隊を拵えようとする。戦争の主な原因はそこにある。中途半端な、役にも立たない軍備を持つよりも、むしろ積極的に軍備を全廃し、戦争を放棄してしまうのが、一番確実な方法だと思うのである。」

これは軍隊を持つと戦争に突入してしまう可能性が高いという事を極めて説得的に書いてある部分です。

「もう一つ、私の考えたことは、軍備などよりも強力なものは、国民の一致協力ということである。武器を持たない国民でも、それが一団となって精神的に結束すれば、軍隊よりも強いのである。例えば、現在マッカーサー元帥の占領軍が占領政策を行っている。日本の国民がそれに協力しようと努めているから、政治、経済、その他全てが円滑に取り行われているのである。しかしもし国民すべてが彼らと協力しないという気持ちになったら、果たしてどうなるか。占領軍としては不協力者をとらえて、占領政策違反として、これを殺すことが出来る。しかし八千万人という人間を全部殺すことは何としたって出来ない。数が物を言う。事実上不可能である。だから国民各自が、一つの信念、自分は正しいという気持ちで進むならば、徒手空拳でも恐れることはないのだ。暴漢が来て私の手をねじって、おれに従えといっても、嫌だといって従わなければ、最後の手段は殺すばかりである。だから日本の生きる道は、軍備よりも何よりも、正義の本道を辿って天下の公論に訴える、これ以外にないと思う。」

軍隊、戦争を放棄してどうやって国を守るのか?という議論がありますが、それに1つの解決策を提示しています。かなり説得力があります。

今のイラクやアフガニスタンがまさしくそうなっていますよね。世界最強の軍事力をもってしても、国民の協力がないので、まったく治安の改善が進んでいません。

以上が幣原喜重郎の「外交五十年」からの引用と私の注釈です。

最後の部分は、吉田松陰も「講孟箚記」という本の中で同じような意見を書いています。吉田松陰は、安倍さんと同じ山口県(長州)の人ですよね。

そもそも松陰先生と比べるのが失礼ですが、同じ土地の同じ政治家でも天地ほどの差があるものです。

「講孟箚記」の中で、中国の魏という国を例にして、なぜ軍事力では国を守れないのか、軍事力を持たずに国を守るためにはどうすればいいのかを説明している部分があります。

幣原喜重郎と全く同じ意見です。というよりも、おそらく幣原喜重郎が松陰先生の講孟箚記を参考にしたのでしょう。

今日、紹介した2冊の本は名著です。アマゾンなんかで買うと安いので、ぜひ買って読んで下さい。

外交五十年(幣原喜重郎)

講孟箚記(吉田松陰)

冒頭にも述べましたが、世論調査によると明らかに全体主義思想を持ち、戦争ができる国にしようとしている自民党が単独過半数を取る勢いだそうです。

本当にそれでいいのでしょうか??

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