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第356号 2012・6・13

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、民法419条の解説です。

時々、試験にも出題される知識ですので、覚えておいて下さい。

昨日、司法書士を受験されている方だと思うのですが、民法のおすすめのテキストを教えて欲しいとの質問をいただきました。

興味のある人も多いと思いますので、この場で回答させていただきたいと思います。ご了承下さい。

市販のテキストでおすすめなのは、断トツで伊藤真先生の試験対策講座です。受験生の間でシケタイと呼ばれている定番のテキストです。

司法試験、司法書士、公務員試験、法学部の学生などなど、法律を勉強する人たちから圧倒的な支持を得ている本です。とりあえず民法のテキストはこれだけで十分です。

↓伊藤真試験対策講座1(民法総則)

伊藤真試験対策講座1(民法総則)

予備校の出している本なんて絶対嫌だ。

学者が書いた基本書が欲しいという人は、内田貴先生の民法でしょう。

いわゆる「ウチミン」と呼ばれている本です。

学者が書いた基本書の中ではずば抜けて分かりやすくて人気のある本です。

民法1 第4版―総則・物権総論

不朽の名作であるダットサン民法などで有名な我妻先生の本もいいと思いますが、どうしても少し古いので、今は内田先生の本がおすすめです。

それでは、さっそくはじめましょう。

▼▼▼ 第419条(金銭債務の特則) ▼▼▼

1項
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

2項
前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。

3項
第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

■■ 解説 ■■

この民法419条は、現代社会における金銭の万能性と高度の流通性に基づいて、金銭債務の不履行に関して特則を定めたものです。

金銭債務の債務不履行の時だけに特別に適用される条文です。

まず、1項です。

通常は、債務不履行があった場合、415条、416条によって実際に生じた損害の額を損害賠償として請求することができます。

例えば、甲さんが今年の宅建試験に絶対に合格しようと思って、乙宅建塾に通って授業を受けることにしました。

甲さんは、代金を支払うという債務を負担しますし、乙宅建塾は、授業をするという債務を負担することになります。

甲さんは代金をきちんと支払いましたが、乙宅建塾はいつまで経っても宅建試験の講座を開講しません。

試験まで時間がないため、早く始めてくれなければ合格することができません。

その後、一度も授業がされないまま試験日を迎え、不幸にも甲さんは不合格になりました。

このような事があった場合、甲さんには具体的な金額は分かりませんが、損害が発生しています。

実際に甲さんが受けた損害を金銭に換算した分だけ損害賠償請求をすることができます。

10万円かもしれないし、100万円かもしれません。それは裁判をしてみないと分かりません。

とにかく、大事なことは甲さんが実際に受けた損害を金銭に換算した分だけ(417条)損害賠償請求ができるということです。

これが原則論です。

しかし、金銭債務の場合には、実際に生じた損害とは関係なく一律に法定利率(404条で年利5%)によって損害賠償額が決められるのです。

たとえ、実際には法定利率以上の損害が生じていたとして、それを証明したとしても法定利率以上の損害賠償請求をすることはできないのです。

これが1項です。但し書きは、私的自治の原則から当然認められることです。

404条というのは任意規定ですので、当事者が年利10%とかの特約を締結していれば、その利率に従うということです。

次に2項です。

さきほどの事例で、甲さんは実際に受けた損害を証明しなければ損害賠償を受けることができません。当然ですよね。

自分は1000万円の損害を受けたと主張したとしても、それをきちんと証明することができなければ、1000万円の損害賠償請求はできません。これが原則論です。

しかし、金銭債務の場合には、損害の証明をする必要がありません。

具体的に、これくらいの損害が発生したということを証明しなくても、当然に法定利率又は約定利率で計算した額を損害賠償として請求することができるのです。

419条2項が、金銭債務の場合だけ特則を設けた理由は、金銭債務の不履行があった場合には、必ず利息だけの損害は発生するし、また、それ以上の損害は発生しないとみなすことが公平だからです。

金銭債務の債権者としては、早くお金を受け取ることができれば、そのお金を使ってさらに儲けることができるわけです。

たとえ、銀行に預けておいたとしてもいくらかの利息が発生します。

期日にお金を受け取ることができなかったことで、最低でも利息分だけは損害が発生するのです。

最後に、3項です。

また、原則論からです。

415条でも解説したように債務不履行に基づく損害賠償請求の要件として、債務者の帰責性というのがあります。

履行遅滞、履行不能、不完全履行全てにおいて債務者の帰責性というのが要件になっています。

したがって、債務不履行につき、債務者に帰責性がなければ損害賠償請求をすることができません。

これが原則論です。

しかし、金銭債務の場合には、債務者に帰責性がなくても損害賠償請求ができるのです。

3項には「不可抗力をもって抗弁とすることができない」と書いてあります。これはかなり強烈な規定です。

たとえ、大地震などの自然災害で交通が遮断されていて、支払いに行くことができなかったために履行遅滞になったような場合でも損害賠償責任は免れないということです。

今の時代であれば交通が遮断されていたとしても、ネットバンクなどで振り込むことができるので、納得することができますが、民法が制定された当時にはインターネットなんて無かったはずですから、債務者にとっては厳しい規定だったはずです。

ちなみに、不可抗力という言葉は法律を勉強していると当たり前に出てくるし、当たり前に使いますけど、正確な意味ってあまり知りませんよね。

ということで、広辞苑で調べてみました。

せっかくですから、この機会に正確な意味を覚えておいて下さい。

【不可抗力】

1、天災地変のように人力ではどうすることもできないこと。

2、(法)外部から生じた障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止し得ないもの。

■■ 豆知識 ■■

1項の解説で、法定利率又は約定利率以上は請求できないと申し上げましたが、例外条文がいくつかありますので、紹介しておきます。

少し細かい話ですので、気にしなくても大丈夫です。

647条(受任者の金銭消費についての責任)

669条(金銭出資の不履行の責任)

873条2項(返還金に対する利息の支払い等)

余裕があれば目を通しておいて下さい。

■■ 編集後記 ■■

民法と全然関係のない話ですが、昨日、アップルから新型MacBookProが発表されました。

RetinaDisplay搭載ですよ。

しかも、SSD標準搭載、薄さ25%カット、重さは2キロ。

たぶんアップルストアで実物を見てしまうと買っちゃうと思います。

このメルマガの読者さんの中には、コンピュータとかプログラミングとかが好きな人ってあまりいないと思いますけど、絶対に最低限のことくらいは勉強しといた方がいいですよ。

30年後には、今の法律家がしている大半の業務がコンピュータに取って変わられる時代になることは間違いありません。

今でも既にアメリカなんかでは、公認会計士とかの仕事はコンピュータに取られています。

アメリカのファイナンス系の有名なニュースサイトでは、ニュースの記事も人間が書かずにコンピュータがリアルタイムに株価のデータを収集・分析して書いています。

ソニーの株が上場以来最安値を更新したら、その1秒後には、それが記事になって配信されているのです。

過去数十年の株価のデータと今動いているリアルの株価をコンピュータは瞬時に比較してニュース記事を生成しているのです。

1秒もかかりません。人間には絶対にできないことですよね。

この程度のことは未来の話ではなくて、今、現実に起こっている事です。

ムーアの法則に従えば、30年後どんな時代になっているかは大体想像できます。

iPhoneに搭載されている人口知能Siriを使った事がある人は分かると思いますが、私はSiriを使った時に感動と同時にちょっとした恐ろしさを感じましたよ。

ちなみに、1チップのコンピュータが人間の脳の能力を超えるのはいつ頃だと思いますか?

答えは、100年後ではありません。

30年後でもありません。

2018年です。

2〜3年の誤差はあるかもしれませんが、あと6年くらいで、1チップのコンピュータの計算能力が人間の脳の能力を超えるのです。

人類史上初めて、人間より能力の高い存在がこの世に誕生するのです。

そうやって考えると、今やっている法律の勉強なんてやってられないですよね(笑)。

コンピュータが世界中の膨大な判例や条文などのデータベースから瞬時に必要なデータを抽出し、分析し、最適な解を返してくれるでしょう。

30年後、私たち人間に求められる能力は根本的に変わっているはずです。

それでは、次回もお楽しみに。

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(裏編集後記)

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LADYGAGAのBornThisWayがすごくいい。

テンション上がって、元気になれる。

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