第290号 2007・9・27
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は、民法363条の解説です。
それでは、さっそくはじめていきましょう。
▼▼▼ 第363条(債権質の設定)▼▼▼
債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときは、質権の設定は、その証書を交付することによって、その効力を生ずる。
■■ 解説 ■■
この条文は、2003年に改正された条文の一つです。
2003年以前から、民法の勉強をしていた方は、注意してください。
最近、民法の勉強をはじめた方は、改正は別に気にする必要ありません。債権は、通常であれば自由に譲渡することができます。
これを債権譲渡というのですが、債権譲渡については、もう少しあとの条文になりますので、ここでは解説しません。
とにかく、債権は、当事者の契約で自由に譲渡できるのが原則です。
しかし、債権の中には証券化されているものがあり、債権を譲渡するのに、その証書を交付しなければ譲渡することができないものがあります。
そういう債権を質権の目的とするときは、証書を交付しなければならないことを規定しているのがこの条文です。
民法363条は、いわば例外規定ということになります。この結論だけ覚えておけば十分なのですが、一応条文の趣旨を解説しておきます。
民法は、質権について要物性を定めていることは344条で解説しました。
しかし、債権の場合は、目に見える物ではなく観念的なものにすぎないので、要物性を貫くことはできません。
そこで、できる限り要物性を維持しようとしているのがこの条文の趣旨です。
■■ 豆知識 ■■
民法363条が適用される典型的なものは、手形、小切手、株券などです。
手形や小切手などは、手形小切手法を勉強しないとよくわからないと思いますが、だいたいのイメージはできると思います。
■■ 編集後記 ■■
今日の条文は、結論は知っていたのですが、趣旨まで考えたのは私もはじめてでした。
なるほど!と思って、ちょっと感動しました(^0^)
やっぱり、民法ってうまく作られていますね。
趣旨まで考えてみると民法の勉強もおもしろくなってきます。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
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