第279号 2007・8・25
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は、民法352条の解説です。
352条から、動産質権についての解説入ります。
それでは、さっそくはじめていきましょう!!
第352条(動産質の対抗要件)
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
■■ 解説 ■■
この条文は、344条、345条とも密接に関連していますので、その解説を読んでいない方は、初めにバックナンバーでそちらを確認しておいてください。
質権は、質権者が目的物の引渡しを受けなければ成立しない要物契約であるということは、344条で解説しました。
そして、質権の成立後も質権者が占有を継続しなければ、質権設定者以外の第三者に対抗することができません。
それを規定しているのが、この352条です。
例えば、Aさんが、Bさんに100万円借りました。
その際に、Aさんは担保として、自分の高級腕時計を質に入れました。
その後、その高級腕時計が泥棒に盗まれてしまいました。
この場合、Bさんは、目的物である高級腕時計の占有を喪失しますので、質権を第三者には対抗することができなくなります。
つまり、質権設定者であるAさん以外の人には、質権を対抗することができないのです。
他方で、Aさんは、第三者ではなく質権設定契約の当事者、つまり質権設定者ですので、占有を喪失したとしても、Aさんには対抗することができます。
また、目的物を盗まれたような場合ではなく、自分の意思で返還した場合、(さきほどの例でいえば、質権者であるBさんが、質権設定者であるAさんに自ら高級腕時計を返還した場合)に、質権が消滅するかという問題があります。
これは、345条との関連で問題になるのですが、それに関しては345条の部分で解説していますので、バックナンバーで確認しておいてください。
さて、ここからが重要です。なぜ、動産質権の場合、質物の占有を継続していなければ、第三者に対抗することができないのでしょうか?
なぜ、そのように民法は規定しているのでしょうか?
これは、おそらく公示の必要性があるからだと思います。質権には、動産質、不動産質、権利質という3種類があります。
不動産質の場合、後ほど解説しますが、登記をすることによって公示することができます。
また、権利質の場合、これも後ほど解説しますが、債権譲渡の467条の規定が準用され、債務者の通知又は承諾によって公示することができます。
しかし、動産質の場合には、動産ですから登記をすることができないし、通知・承諾ということで公示するわけにもいきません。
つまり、占有によってしか公示する必要がないのです。
ですから、占有を喪失した場合には、第三者対抗力を喪失するとして、取引の安全を図っているわけです。
対抗力に解説は、177条を参考にしてください。
■■ 豆知識 ■■
質権を第三者に対抗するためには、占有を継続する必要があります。
ここにいう占有というのは、代理占有(181条)でもいいとされています。
さきほどの具体例でいえば、質権者であるBさん自ら高級腕時計を占有している必要はなく、Bさんの代理人である倉庫業者のCさんが占有しているような場合でも第三者対抗力は失われません。
■■ 編集後記 ■■
今日の解説は、いろいろな条文が関連しているので、わかりにくかったかと思います。
このように、民法は、全ての条文が一体となって密接に絡み合っているので、非常に難しいです。
しかし、一度全体を把握することができれば、一気に理解が深まります。
根気よく地道に続けていきましょう。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
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少しずつ、勉強して農業ビジネスに挑戦しようと思っています。
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