第276号 2007・8・6

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、民法349条の解説です。

昨日は、京都の清滝という場所で、バーベキューをしてきました(^—^)

中学時代の同級生もたくさん来ていて、かなり楽しめました。

気の合う仲間と難しいことを考えずに遊んでいる時ってほんとに楽しいし幸せだと感じます。

それでは、さっそくはじめていきましょう!!

第349条(契約による質物の処分の禁止)

質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期の前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。

■■ 解説 ■■

この民法349条は、弁済期前のいわゆる流質契約を締結することを禁止している条文です。

その趣旨は、経済的に優位な立場にある質権者が、債務者の困難な状態に付け入って暴利をむさぼらないようにするためです。

例えば、みなさんが、1000万円相当のベンツを持っていたとします。

2日後に、どうしても事業資金として100万円が必要になりましたが、キャッシュがなかったとします。

そこで、ベンツを質入して100万円を借りました。しかし、弁済期に返済することができなくなりました。

この場合、弁済期前に、「弁済期に返済できなかった場合は、直ちにベンツの所有権は質屋さんに移転する」というような契約があった場合、弁済期を経過した時点で、ベンツの所有権は、質屋さんに移転することになります。

このような契約を一般的に流質契約といいます。

しかし、これって公平の観点からしてどうでしょうか?

100万円の債務のために1000万円のベンツを取られてしまうわけです。

あまりにも不公平です。

みなさんからすれば、どうしても100万円を借りる必要があったので、仕方なくベンツを質入したわけです。

つまり、このような流質契約を認めると、債務者の弱みにつけこんで暴利をむさぼることができることになるのです。それを禁止するために、349条が規定されています。

ですから、弁済期到来後に流質契約をした場合や、質権設定者が自ら認めたような場合には、349条の適用はないことになります。

なぜなら、このような場合には、さきほどの349条の趣旨が妥当しないからです。

■■ 豆知識 ■■

349条は、一般的に流質契約を禁止していますが、特別法により許される場合があります。

質屋営業法や公益質屋法などの特別法では、流質契約が認められています。

民法は、私人間での争いを規律する一般的な法律ですが、実際には、特別法というのが多く存在しており、それらの特別法が民法に優先して適用されるのです。

■■ 編集後記 ■■

このような条文は、特別法が優先的に適用されることが多いので、実際にはあまり機能していないことがあります。

しかし、民法は、全ての法律の基礎的な考え方が凝縮されています。

民法を深く理解していて、はじめて特別法も理解することができますので、民法を徹底的に勉強しておくことが実務でも絶対に役立つと思います。

頑張りましょう!!

それでは、次回もお楽しみに!!

発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/

日本で実施されている資格を調べるには資格キングをご利用下さい。

なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

【YouTube】独学応援!行政書士塾

YouTubeで行政書士試験対策講座を配信しています!ぜひチャンネル登録を!

管理人の著書

【行政書士試験の最短デジタル合格勉強法。iPadを活用した新時代の勉強法】Amazonで絶賛販売中!

メールマガジン登録

このサイトは、まぐまぐより発行している無料メルマガのバックナンバーです。最新号を早く読みたい場合は、無料メルマガの登録をお願いします。登録はこちらから。

民法のおすすめの本

↓民法基本書の定番である内田民法!民法を勉強するなら必ず持っておきたい基本書の一つです。

民法1 第4版

↓司法試験受験生の間で圧倒的な支持を得ている伊藤塾のテキストです。司法試験、司法書士、行政書士の受験対策や大学の学部試験対策に最高のテキスト。

伊藤真試験対策講座1 民法総則

↓民法の偉大な学者である我妻先生が民法の条文を一つずつ徹底的に解説されています。条文の趣旨や要件・効果などを調べたい時に辞書のように使うと便利な本です。

我妻・有泉コンメンタール民法—総則・物権・債権