第149号 2006・3・24

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。前回で、民法177条の解説が終わりました。

難しかったと思いますが、とりあえず先に進みましょう。

それでは、さっそくはじめましょう!!

第178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)

動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

■■ 解説 ■■

さて、民法178条の解説ですが、今回は動産の対抗要件について規定している条文です。

前回の177条は、不動産についての対抗要件についての規定で、不動産については第三者に対抗するためには登記が必要だということを解説しました。

この民法178条は、動産に関しての条文で、動産については、引渡しをすることによって第三者に対抗することができると規定されています。

動産の場合は、登記が対抗要件なのではなくて、引渡しがあれば、それだけで第三者に対抗することができるようになるのです。

というよりも、動産については登記をすることができません。

なぜなら、動産については一部の例外を除き登記制度というものがないからです。

不動産の場合には、数がある程度限られてきますが、動産というものは、ほぼ無限に存在します。

みなさんが、使っているパソコンも動産ですし、私が今メルマガを書いているこのパソコンも動産です。

また、みなさんが使われているペンも一本一本が全て動産です。

これらの全てを登記することなんて不可能ですよね。コンビニで、ペンを一本買うたびに登記をしなければならないというのも不可能です。

つまり、動産の場合は、数がほぼ無限に存在するし、取引も不動産に比べれば頻繁になされます。

そのような動産に全て登記を要求するのは技術上も事実上も不可能なのです。

ですから、民法は動産の場合は、引渡しだけで対抗要件になると規定したのです。

ちなみに、さきほど一部の動産については例外があるといいました。

例えば、船や車です。

船や車は動産ですが、価値は高いし、数もある程度限られているし、取引もそれほど頻繁になされるわけではありません。

ということで、船や車は動産ですが、引渡しだけでは足りず、登録制度が設けられているのです。

■■ 豆知識 ■■

動産の対抗要件は、引渡しで足りると解説しました。

では、引渡しとはどういうことでしょうか?

一番、分かりやすい例で説明します。

Aさんが、テレビを持っていました。

その後、AさんはそのテレビをBさんに売り、また同じテレビをCさんにも売りました。

そして、先にBさんがAさんからテレビを受け取り引渡しを受けました。

この段階で、Bさんは引渡しを受けているので、対抗要件を具備したことになりますので、Cさんから「テレビを渡せ!」と言われても渡す必要はありません。

このように、実際に物を受け取った場合は当然「引渡し」になります。

これを民法では、「現実の引渡し」といいます(民法182条)。

ただ、これ以外にもいくつか民法は「引渡し」を規定しています。

また、182条以下の解説の部分できちんと解説しますので、安心してください。

引渡しといった場合、さきほどの「現実の引渡し」だけをイメージするのが普通だと思いますが、他にもいろいろな引渡しがあるのだということは知っておいてください。

■■ 編集後記 ■■

少し遅いですが、日本の野球が世界一になりました。

私は野球に興味はないですが、自分の祖国が勝つとうれしいものです。

こういう感情と言うのは、別に右翼思想だからとか関係なく、自分の家族を愛する気持ち、自分の故郷を愛する気持ち、というように人間として自然な気持ちなのだと思います。

最近は、ちょっとしたことで、すぐに右翼思想だとか言う傾向がありますが、ちょっと違うだろ、と思うことがよくあります。

それでは、次回もお楽しみに!!

発行:株式会社シグマデザイン
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(裏編集後記)

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暖かくなってくるのはうれしいですが、暖かくなると花粉症でしんどいので、大変です。

早く夏になって欲しいです!!

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