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第317号 民法 第388条(法定地上権)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第317号 388条 2008・3・24
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんにちは。

今日は、民法388条の解説です。

民法388条は、法定地上権についての規定で、非常に重要な条文です。

法律系の資格試験であれば、どの試験においても必ず出題される重要テーマですので、内容は必ず理解してください。

細かい論点もたくさんあるのですが、とりあえず法定地上権というものがどういう制度ななのかということをまずは理解していただきたいと思います。

それから、つい最近、法定地上権がらみで非常に重要な最高裁判例が出ました。

法定地上権をある程度理解している中・上級者の方は絶対におさえておいてください。

豆知識で最新判例も紹介します。

それでは、さっそくはじめていきましょう。

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▼▼▼ 民法 第388条(法定地上権) ▼▼▼

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により裁判所がこれを定める。

■■ 解説 ■■

まず、法定地上権という制度は、土地および建物が同一の所有者に属する場合に、土地または建物のみに抵当権を設定したときは、抵当権実行による競売の場合につき、法律上然に地上権を発生させるものです。

これだけでは何のことか全くわからないと思いますので、まずは具体例を挙げます。

例えば、Aさんが甲土地とその土地の上に建っている乙建物を所有していたとします。

その後、Aさんは、Bさんに対する100万円の貸金債務のために、甲土地にのみ抵当権を設定しました。

Aさんは、返済をしていましたが、やがて返済することができなくなってしまい、Bさんが甲土地の抵当権を実行し、競売にかけられてしまいました。

そして、Cさんが甲土地を競落しました。

このような場合、Aさんの乙建物のために甲土地に対して法定地上権が発生するのです。

なぜ、このような場合に法定地上権が発生するのかというと、もし、法定地上権が発生しないとすれば、Aさんは、乙建物を撤去しなければならなくなってしまうのです。

なぜならば、甲土地は、Cさんの所有になっており、Aさんは甲土地に対して、乙建物を建てておくための権限を何ら有していないからです。

抵当権が実行されて、Cが甲土地を競落する前は、甲土地もAさんのものだったわけですから、自分の土地に自分の建物を建てているという状態であり、何ら問題なかったわけです。

しかし、抵当権が実行されて、Cさんが甲土地を競落した以上、甲土地はCさんの物になってしまったわけです。

Cさんという他人の土地の上に、Aさんの建物が建っている状態になってしまっているわけです。

当然、Cさんとしては、「建物をどけろと!」Aさんに言うでしょう。

Aさんは、土地に対して何らの権利を有していないので、従わざるを得ないわけです。

これでは、Aさんはあまりにもかわいそうですよね。

ですので、民法388条は、このような場合に法律上当然に、法定地上権を発生させて、法定地上権を根拠に建物を存続させることができるようにしたのです。

なぜ、このような問題が生じるのかというと、抵当権設定時に、土地と建物がAさんという同一の所有者に属していたからなのです。

もし、甲土地がAさんの所有で、乙建物がDさんの所有だったとすれば、当然、その時点で、Dさんは土地に対して、賃借権なり地上権なりの何らかの権利を設定していたでしょうから、たとえ、土地が競売にかけられて、Cさんが競落したとしても、もともと設定していた賃借権なり地上権なりの何らかの権利をCさんに対抗することができ、そのまま建物を存続させることができるのです。

しかし、抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属する場合、土地に賃借権や地上権などの権利を設定することができないのです。

自分の土地に自分の建物のために賃借権や地上権を設定するというのは変ですよね。

ですから、民法は、自分の土地に対して自分の建物のために賃借権を設定するという自己借地権を認めていないのです。

つまり、土地と建物が同一の所有者の場合、将来の抵当権実行に備えて借地権などを設定することはできないのです。

とすると、法定地上権が成立しないとすると、極めて不都合な結果になってしまいます。

そこで、民法は、法律上当然に法定地上権が成立するとして、建物を存続させることができるようにしているのです。

さきほどの、具体例は、土地に抵当権が設定された場合でしたが、建物のみに抵当権が設定された場合、又は、土地と建物の双方に抵当権が設定された場合でも同じです。

最後に、法定地上権が成立するための要件を挙げておきますので、必ず覚えてください。

さきほど解説した法定地上権の趣旨が理解できていれば、要件はすぐに覚えることができると思います。

〜法定地上権の成立要件〜

1、抵当権設定時の土地と建物が存在していること。

2、抵当権設定時に、土地と建物が同一の所有者に属していること。

3、土地と建物の一方又は双方に抵当権が設定されること。

4、競売が行われて土地と建物が別異の者に帰属すること。

■■ 豆知識 ■■

今日は、豆知識ではなく、最新判例を紹介します。

これは、法定地上権の基本的な理解がしっかりとできていて、法定地上権の有名論点まで理解しているという方のみが対象ですので、わからない方はすっ飛ばしてください。

法定地上権がらみの複雑な論点を全ておさえていないと理解できないと思います。

最高裁平成19年7月6日の判例です。

事案は複雑なのですが、解説の便宜のために簡素化します。

〜事案〜

1、Y所有の甲土地の上に、A所有の乙建物があり、Bが土地と建物に対して1番抵当権を設定。 

2、A所有の乙建物がYとZの共有となりました。

3、Dが甲土地に対して2番抵当権を設定。

4、Bの抵当権が消滅し登記も抹消。

5、Dの2番抵当権が実行。

簡単に言うと、1番抵当権設定時には、法定地上権成立の要件を充たさないが、2番抵当権設定時には、法定地上権成立の要件を充たすという場合です。

この場合、通常であれば、法定地上権は成立しませんよね。

ここまでは、有名な論点です。

しかし、本件の特殊性は、後に1番抵当権が消滅し、さらには登記も抹消されているの点にあります。

この場合に、法定地上権が成立するのかどうかが争われたのが本件です。

判例は、1番抵当権が抹消された場合、法定地上権の要件の判断時期は、2番抵当権設定時であるとして、法定地上権の成立を認めました。

これは、試験にも出題される可能性がありますので、確認しておいてください。

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■ 編集後記 ■

法定地上権は、理解するまでは非常に難しいですし、論点もたくさんあります。

まずは、法定地上権という制度がどういうもので、その趣旨は何なのか、ということだけしっかりと理解してください。

豆知識で紹介した最新判例などは、今は気にしないでください。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

最近、最新判例をチェックしています。

他にもいろいろとおもしろい判例があるので、また機会があれば紹介したいと思います。

関連条文

第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)

第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)

第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)

第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)

第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)

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