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第296号 民法 第369条  (抵当権の内容)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第296号 2007・10・30
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■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、民法369条の解説です。

ちなみに、367条と368条は、削除されていて現在ありません。

いよいよ今日から抵当権の解説に入ります。

抵当権は、担保物権の中でも重要なものですので、気持ちを入れ替えて頑張っていきましょう。

それでは、さっそくはじめていきましょう。

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▼▼▼ 民法 第369条  (抵当権の内容) ▼▼▼

1項

抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2項
地上権、及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合において、この章の規定を準用する。

■■ 解説 ■■

まず、はじめに抵当権というのが、民法全体の中でどの部分に規定されているのかを確認しておきましょう。

抵当権は、民法第2編の物権編の第10章にあります。

つまり、抵当権は物権の一つであり、物権の中でも担保物権の一つです。

この抵当権というのは、前回まで解説してきた質権とは異なり非常に素晴らしい制度です。

質権の場合、債権者に物の占有を奪われてしまいましたよね。

例えば、不動産質の場合、不動産の所有者は、自己の債務の担保のために債権者に不動産の占有を奪われてしまい、自分の土地を自由に使うことができなくなってしまいます。

しかし、抵当権の場合は、土地などを自己の占有においたままで、債務の担保にすることができるのです。

少し難しいので、具体例をあげて解説します。

AさんがBさんに1000万円の貸金債権を有していたとします。

そして、その債権を担保するために、Bさんの土地に対して抵当権が設定されました。

この場合、抵当権を設定している債権者であるAさんを抵当権者といいます。

他方で、抵当権を設定されている債務者であるBさんを抵当権設定者といいます。

この事例で、Bさんの土地に抵当権は設定されていますが、だからといってBさんは、自分の土地を使うことができなくなるわけではありません。

抵当権が設定された後も、今までどおり自分の土地を自由に使うことができます。

ただし、もし1000万円の債権を弁済することができなくなったときには、抵当権が実行され、土地は競売にかけらるので、土地を取り上げられてしまいます。

つまり、抵当権といのは、土地などを担保に入れるのですが、債務の弁済をきちんとすれば、土地を取り上げられることはないし、今までどおり自由に土地を使うことができるのです。

これはとても素晴らしい制度ですよね。

たとえば、Bさんが自分の持っている土地の上に建物を建てて商売を始めようと思ったとします。

しかし、資金がないので、Aさんから金を借りようと思いました。

そこで、AさんはBさんの土地を担保に入れてくれるのであれば、金を貸してもいいと思いました。

この時、もし、不動産質権を設定したとします。

すると、Bさんの土地はAさんに取り上げられてしまうことになります。

Bさんは、確かに金を借りることはできましたが、土地を取り上げられてしまっているので、土地の上に建物を建てて商売をすることができません。

せっかく商売をするための金を借りることができたのに、土地を取り上げられてしまっては何の意味もないのです。

しかし、抵当権の場合は、Bさんが資金の返済をきちんとすれば、土地を取り上げられることはないのです。

今までどおり自由に使うことができます。借りた金で、土地の上に建物を建てて商売をして、商売で稼いだ金で、返済をすることができます。

万が一、商売がうまくいかなくなって、金を返済することができなくなった場合にだけ、土地を取り上げられてしまうのです。

これは、債権者からしても好都合な制度なのです。

なぜなら、債権者は、金を回収することができればそれで十分なわけで、別に土地を取り上げたいとは思わないことが多いからです。

貸し付けた金の利息を取ることができて、全額回収することができればいいのです。

万が一、返済が滞った場合には、抵当権を実行して債権の回収をすることができるのですから、何の問題もないわけです。

むしろ、土地を取り上げてしまうと管理が大変ですし、債務者に自由に使わせて、それで頑張って稼いでもらって確実に返済してもらう方が好都合なのです。

これが、抵当権という制度です。

最後に2項ですが、さきほどはずーっと土地に抵当権を設定するという具体例で解説してきましたが、土地や建物などの不動産に限らず、地上権・永小作権にも抵当権を設定することができます。

これは、覚えておいてください。

■■ 豆知識 ■■

抵当権を設定することができるのは、不動産、地上権、永小作権の3つです。

この知識は、よく法律系の資格試験には出題されますので覚えてしまってください。

3つだけですので、すぐに覚えることができると思います。

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■ 編集後記 ■

少し前に、宅建の過去問を素材に民法の勉強をしようということで、掲示板の方で問題を出しました。

その解説を書いておきましたので、興味がある方は見ておいてください。

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冒頭で紹介した、らくらく勉強塾も参考にしてくださいね。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

急に寒くなったので、先週末あたりから体調を崩しています。

みなさんも気をつけてくださいね。

ちなみに、カゼには葛根湯がおすすめです(^0^)

関連条文

第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)

第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)

第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)

第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)

第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)

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