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94条2項類推適用 Part2

ということで、今回はいよいよ類推適用というテクニックの解説に入りたいと思います。
少し難しいかもしれませんが、これが分かると一気に法律知識が広がるし、いろいろな部
分で応用ができるので、ぜひ理解して自分の力にしてください。

法律的な考え方をよくリーガルマインド(法的思考力)といいますが、これは法律の世界
だけでなくどこの世界でも役に立ちます。

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知ってて得する法律知識!実際の判例から解説! 第22号 2005・6・2
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---------- 目次 --------------------------------------------------------------

1、第1章  はじめに
2、第2章  おすすめメルマガ
3、第3章  本題
      (事件の概要、争点、結論、解説、最後に、今日の得する法律知識)
4、第4章  おすすめサイト
5、第5章  編集後記
6、第6章  注意

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■■  第1章 はじめに  ■■


いろいろと多忙で、少し間が空いてしましました。前回の民法94条の説明は理解できた
でしょうか。もう忘れた!という方は前回の分をもう一度読んでいただいた方が今回の話
もスムーズに理解できると思います。

ということで、今回はいよいよ類推適用というテクニックの解説に入りたいと思います。
少し難しいかもしれませんが、これが分かると一気に法律知識が広がるし、いろいろな部
分で応用ができるので、ぜひ理解して自分の力にしてください。

法律的な考え方をよくリーガルマインド(法的思考力)といいますが、これは法律の世界
だけでなくどこの世界でも役に立ちます。

法律家の仕事というのは一言で言えば、相手を説得することなのです。この相手を説得す
るという力はどこの世界でも大事ですよね。

例えば、自分が考えたプランを実行するために上司を説得する。クレームがあり、お客様
といざこざが生じた場合に、説得して納得してもらう。営業先で、いかに自分の会社の扱
っている商品が素晴らしいかを説得して買ってもらう。

というように相手を説得するというのは、どこの世界でも必要ですし、自分のものにすれ
ばこれほど強いものはないのです。

各国の大統領や首相に元弁護士が多いのはある意味当然なのでしょう。大統領や首相とい
うのは国民を説得するという事がとても大事な仕事の一つですからね。

さぁ、みなさんも難しく考えずにこのメルマガを利用して、こつこつと力をつけてくださ
い。私も、できるだけ内容が濃くてわかりやすいものを作っていきたいと思います。

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■■ 第3章 本題 ■■

さて、それでは本題に入りましょう。さきほども言いましたが、前回の続きで民法94条
2項類推適用という話の解説です。

最判昭和45年9月22日の判例を素材に解説したいと思います。


■■ 事件の概要 ■■


Aさんは家を持っており、登記もしていました。しかし、ある日、Bさんが勝手に登記を
自分の名義に書き換えました。その後、Bさんは自分に登記があるので、それを利用して
CさんにAさんの家を勝手に売って、登記もCさんに移転してしまいました。

なお、AはBが勝手に登記を書き換えたことを知っているにもかかわらず、4年間も登記
を抹消せずに、B名義のままにしていたり、自分の債務を担保するためにB名義のまま、
その不動産に根抵当権を設定したりしていた、という事情がありました。


■■ 争点 ■■


AはCに対して、登記の抹消を請求することができるか。


■■ 結論 ■■


できない。

判旨一部抜粋

「不実の登記のなされていることを知りながら、これを存続せしめることを明示または黙
示に承認していたときは、94条2項が類推適用され、AはCに対して、Bが所有権を取
得していないことを対抗できない。」


■■ 解説 ■■


難しい話ですよね。難しいときは原則論から考えましょう。これは法律的な考え方をする
時の鉄則です。

まず、家の所有者はAさんです。そして、Bさんは登記を勝手に書き換えただけですから
、家の所有権を取得できないのは当然です。勝手に他人の家の登記を自分の名義に書き換
えたからといって、家の所有権が自分のものになるわけがないですよね。

ということは、Bさんは家の所有権を持っていないのでただの無権利者です。その無権利
者であるBさんから、家を買ったCさんも家を手に入れることなんてできません。

みなさんも、Aさんの立場になって考えてみてください。ある日突然、友達が「お前の家
はオレが甲さんに売ってきたから。」と言われるのと同じです。友達が勝手に売ってきた
だけですから、自分の家を甲さんに渡さなければならないわけがないですよね。

ここまでが、原則論です。

しかし、反対にCさんは、Bさんが登記を持っているので、Bさんが家の所有者だと信じ
て家を買ったわけです。にもかかわらず、後で「実はあの家はAさんのでした。」という
ことになれば、「ふざけんな!」ということになりますよね。「じゃあ、何でお前が登記
を持っているんだ!」とも思うでしょう。

ここで、気づいた方がいるかもしれません。何か、前回の94条2項と話が似ていますよ
ね。でも、94条2項を使ってCさんを保護することはできないのです。

なぜなら、94条2項というのは、通謀してウソの売買契約などをした場合に第三者を保
護する規定でした。でも、本件のAさんとBさんの間に通謀やウソの売買契約などはあり
ません。Bさんが、Aさんの知らない間に勝手に登記を書き換えたという事例だからです。
残念ですが、Cさんを94条2項で助けてあげることはできません。

でも、ちょっと考えてみてください。

確かに、AさんとBさんの間に通謀などはありません。でも、Aさんは、Bさんが勝手に
登記を書き換えていることを知っているにも関わらず、何らの措置もとらなかったんです
よね。しかも、B名義の土地に自分の債務を担保するために根抵当権を設定するなど、B
に登記があることを暗黙で認めていると考えられるような行動もしています。

ここまでくると、94条2項のように通謀があったような場合とほとんど変わらないです
よね。そこで、登場するのが類推適用です。つまり、直接は適用できないけど、似ている
場合にはその条文を類推適用しようというテクニックなのです。

そこで判例は、確かに、通謀してウソの売買契約などないから、94条2項を直接適用す
ることはできないけど、ほとんど同じような状況だから、こういう場合には94条2項を
類推して適用しようと考えたのです。

つまり、類推適用というのは、本来、条文が規定している場合とは違うから、直接には適
用できないけれども、似ている場合には、その条文を類推して適用しましょう、というこ
となのです。

本件でいえば、結局Cさんは94条2項の類推適用により保護されるので、家の所有権を
取得することができるということになります。


■■ 最後に ■■


今回は類推適用の話を紹介しましたが、ほんとに難しいですよね。これが法律の難しさだ
と思います。

もう少し、詳しく言うと、94条2項を類推適用するためには、3つの要件が必要です。

1、外観の存在
2、本人の帰責性
3、第三者の信頼

という3つです。

本件でいえば、
1、外観の存在は、Bに登記があるということ
2、本人の帰責性は、Aが登記を書き換えられていることに気づいたのに何もしなかった
  ということ
3、第三者の信頼は、CがBが登記を持っているので、Bが家の所有者だと信じて家を買
  ったこと

ということになります。


■■ 今回の知ってて得する法律知識 ■■


条文がなくても、似ている状況であれば似ている条文を類推して適用できる場合がある。
条文がないからといってあきらめてはいけません。


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■■ 第4章 おすすめサイト ■■


以前に、企業の広告などをクリックしてポイントを貯めて現金がもらえるというのを紹
介しました。今日は、それと同じようなサイトを紹介します。無料で小遣い稼ぎができ
るということで最近、そういうサイトがとても増えてきているんですよね。

今日、紹介するのは、CMサイトというものです。サイトに行って企業のおもしろいア
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CMサイト

■■ 第5章 編集後記 ■■


今回のメルマガですが、実はかなり修正して短くしました。最初は、倍くらいありました
。あまり、長すぎても読んでもらえないと思いますし、反対に短すぎるとわかりやすく説
明できない。

メルマガの発行はほんとに難しいです。今回の話は少し、省略しすぎて、わかりにくかっ
たかもしれません。


■■ 第6章 注意 ■■


このメルマガは実際の判例を素材にしていますので、もっと詳しく知りたいという方は最
高裁判所のホームページを見れば紹介されていますので、見てみてください。星の数ほど
判例はあるので検索するのに苦労するかもしれませんが・・・。

ここで紹介している判例は、発行当時のものです。法律は生き物ですから、難しい解釈が
されたり、判例変更がされている可能性もありますので、自分の責任で判断してください
。また、同じ事件など存在しないので、すべての場合にこのメルマガで紹介している判例
の結論になるわけでもありません。あくまで、参考にということでお願いします。


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