第367号 2013・7・8

■■ はじめに ■■

みなさん。おはようございます。

今回も詐害行為取消権の解説です。前回は詐害行為取消権が使える典型的な事例を紹介しました。

今回は詐害行為取消権が認められるかどうか微妙な事例を解説します。全て重要な論点であり、様々な法律系の資格試験に出題されるテーマですので、理解して結論を覚えておいて下さい。

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それでは、さっそくはじめましょう。

▼▼▼ 第424条(詐害行為取消権) ▼▼▼

1項
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。

2項
前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

■■ 解説 ■■

前回の詐害行為取消権の解説Part1で豆知識で詐害行為取消権の要件を紹介しました。大事なのでもう一度書きます。

【債権者側の要件】
被保全債権が存在すること
詐害行為前に債権を取得していること

【債務者側の要件】
1、客観面(詐害行為)
    債務者のした法律行為であって、財産権を目的とするもの
    債務者の無資力
2、主観面
    詐害意思

【受益者・転得者の要件】
債権者を害することを知っていること

かなりたくさんの数があるのですが、大事なものは債務者側の要件である詐害行為と詐害意思の2つです。

詐害行為取消権が難しいのは、この要件を形式的にカチカチとパズルのようにはめていく事ができないからなのです。

分かりやすいのが留置権です。留置権も難しく思えるかもしれませんが、要件さえ覚えてしまえば、後は単純に1つずつ要件を充たすかどうか検討していくだけなのです。

要件さえ覚えてしまえば、知らない問題でもだいたい解けます。

どういう意味か分からない人は、留置権の解説の部分を読み直してみて下さい。

【留置権の解説一覧】

しかし、詐害行為取消権は留置権のようにはいきません。

判例は詐害行為取消権の要件である詐害行為と詐害意思というのを総合的かつ相関的に判断しているのです。

行為の詐害性が強ければ詐害意思は弱くてもよく、行為の詐害性が弱ければ強い詐害意思が要求されるのです。2つの要件を個別に検討するのではなくまとめて総合的に検討しなければならないのです。

具体的な事例を挙げた方が分かりやすいと思いますので、論点となっている事例で解説していきます。

【具体例】

甲さんが乙さんに100万円の貸金債権を有しており、債務者乙の財産は500万円の土地だけです。乙は丙に本件土地を100万円で売却してしまった。

簡単に言えば、債権者甲、債務者乙、受益者丙です。

この場合には特に問題なく詐害行為取消が認められます。500万円の土地を100万円という不相当な価格で売却していますので、明らかに詐害行為と認められ詐害意思もあります。

これは論点になりません。

では、さきほどと同じ事例で100万円ではなく500万円で売却したとすればどうでしょうか?

500万円の価値のある土地を500万円で売却しているので、土地は失いますが代わりに500万円の現金が入ってきますので総財産の額としては減少していませんよね。

とすると、債権者甲を害するような詐害行為とは言えないようにも思えます。

しかし、判例は不動産の売却は相当な価格での売却であったとしても原則として詐害行為にあたるとしています。

なぜなら、金銭は土地に比べて消費・隠匿・散逸しやすく共同担保の効力を削減することになるからです。

債権者の立場からみて、債務者の財産として土地があるのと金銭があるのでは、土地の方が担保としての価値が高いという事です。金銭の場合は簡単に使ってしまったり隠したりできてしまいますよね。

そこで、判例は不動産の相当価格での売却行為を詐害行為にあたると考えるのです。

ただし、例外的に土地を売却した理由が生活費として使うためなど、債権者を害する意図が無いような場合には詐害意思が認められず詐害行為には当たらないとしています。

このように判例は行為の詐害性が強くても詐害意思が弱い場合には、全体として詐害行為の要件は充たさないと考えているのです。

この詐害行為と詐害意思という要件を総合的かつ相関的に判断するというのが詐害行為取消権の難しいところです。

不動産の売却が詐害行為にあたるかどうかを簡単にまとめます。

500万円の土地を100万円で売るというような不相当な価格での売却は、行為の詐害性があまりにも強いので、詐害意思が無かったとしても全体として詐害行為にあたる。

500万円の土地を500万円で売るような相当な価格での売却は、不動産を消費・隠匿・散逸しやすい金銭に変えるのであるから行為の不相当価格での売却よりも詐害性は弱まるものの、なお詐害性ありといえる。ただし、生活費に充てるために売却したなどの事情がある場合には、詐害意思が無く全体として詐害行為とは言えない。

行為に詐害性があったとしても、詐害意思が無い場合には全体として悪性が薄まるというようなイメージです。

■■ 豆知識 ■■

詐害意思というのは具体的に言うと、「当該行為が債権者を害すること、つまり、総債権者に対する弁済資力に不足をきたすことを知っているこ」とです。

■■ 編集後記 ■■

今回は難しかったと思います。同じように詐害行為にあたるかどうかという論点があと3つあります。

次回それを解説しますので、今わからなくても、少しずつ理解できるようになってくると思いますので安心して下さい。

それでは、次回もお楽しみに。

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