第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)
この398条の趣旨は、抵当権設定者が、抵当権者の同意なしに欲しいままに抵当権の目的となっている権利を消滅させることを防止して、抵当権者を保護することです。
例えば、Aさんが甲土地を所有しており、Bさんがその甲土地に地上権を設定し使用していたが、その後に、その地上権にCさんのために抵当権を設定したとします。
このような場面で、Bさんが甲土地に対する地上権を放棄したとします。
すると、その地上権は消滅するわけですから、当然、その上に乗っかっているCさんの抵当権も消滅するはずです。
しかし、自己の地上権に対して他人に抵当権を設定させておきながら、抵当権の存続の基礎となる地上権を自ら放棄するというのは公平の観点から考えて許されるものではありません。
そこで、398条は、そのような権利の放棄をしたとしても、その放棄を抵当権者に対抗することができないとしたのです。
第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)
この397条は、取得時効の例外的な規定になります。
まず、原則論として、ある不動産を占有する者が、取得時効によってその所有権を取得した場合には、原始取得になりますので、その不動産上に存在していた権利は全て消滅して完全な所有権を取得することになります。
原始取得と承継取得の違いを少しだけ確認しておくと、原始取得というのは取得時効や民法192条で解説した善意取得などです。
つまり、誰かの所有権が消滅して、新しい人のところで全く新しい所有権がポッと生まれるというイメージです。
反対に、承継取得というのは、売買契約によって所有権を取得したような場合です。
第327号 民法 第396条(抵当権の消滅時効)
さて、条文だけ読むとよくわからないと思います。
まず、この396条の趣旨は、被担保債権が消滅時効にかかっていないにもかかわらず抵当権だけが消滅時効にかかってしまうのを防ぐことです。
抵当権というのは、被担保債権を担保するために設定されるものでしたよね。
例えば、AさんがBさんに100万円を貸したとします。
その時、AさんはBさんのことが信用できないので、万が一のために備えてBさんの土地に抵当権を設定しました。
これだと万が一、Bさんが100万円を返さなかったとしてもAさんは抵当権を実行してそこからきっちりと100万円を回収することができるので安心です。
つまり、AさんがBさんに対して有している100万円の貸金債権と抵当権というのは別個の権利なのです。貸金債権という債権と抵当権という物権の別個の2個の権利があるわけです。
ですから、形式的に考えれば、それぞれがバラバラに消滅時効によって消滅してしまうと
も考えられるわけです。
しかし、そもそも抵当権は、被担保債権を確実に回収するために設定されたものであり、密接な関係がありますし、もし、被担保債権は残っているのに、抵当権だけ消滅していたということになれば、債権者であるAさんのような人は困りますよね。
第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
この条文は、2003年以前に規定されていた短期賃貸借という条文の廃止に伴って新たに規定されたものです。
2003年以前に民法の勉強をしたことのない方は全く気にする必要はありませんが、それ以前に民法の勉強をしたことがある方は大きく改正されていますので注意してください。
さて、この395条の趣旨は、建物の賃借人の使用収益する権利を保護することです。
これでは、何のことはわからないと思いますので、具体例を挙げて解説したいと思います。
1項の1号と2号に該当する建物の賃借人がこの条文により保護されることになるのですが、2号に関しては民事執行法との関係もあり難しいので、1号の場合を想定して解説します。
第325号 民法 第394条(抵当不動産以外の財産からの弁済)
民法394条は、抵当権者と一般債権の利益を調整している規定です。
抵当権者は、債務者に対する関係においては、抵当権を実行せずに債務者の一般財産に対して直接強制執行することもできます(394条1項)。
ただ、そうすると、抵当権を有しない一般債権者の期待を害してしまいます。
これでは。いまいちわからないと思いますので、具体例をあげて解説します。
例えば、Aさんが甲さんに対して500万円の債権を有しており、その債権を担保するために甲の家(価額:400万円)に対して抵当権を設定しました。
さらに、Bさんも甲さんに対して100万円の債権を有していたとします。
このような事例において、債務者甲さんの返済が滞ったとします。
第324号 民法 第393条(共同抵当における代位の付記登記)
前条第2項の規定というのは、前回解説したように共同抵当権が設定されて、異時配当された場合の規定でした。
異時配当された場合、一定の範囲で後順位抵当権者は、先順位抵当権者に代位して、優先弁済を受けることができます。
ここまでは、前回解説したことです。
今日の393条は、後順位抵当権者が代位する場合、その対抗要件として代位の登記をすることができるということです。
もし、代位の登記をしない間に、新たな第三者が利害関係に入ってくれば、その者に対抗することができないということです。
これは、後順位抵当権者が共同抵当権者に代位することは、理論的にいえば、共同抵当権が一定の範囲で後順位抵当権者に移転することであるから、その対抗要件として登記を要求されているのです。
第323号 民法 第392条(共同抵当における代価の配当)
前回、解説した同時配当というのは、ある債務を担保するために複数の物に対して抵当権が設定されている場合において、それらの抵当権を同時に実行することです。
同時配当の場合には、それほど問題は生じません。
前回、解説したような方法で計算すれば、他の人、特に後順位抵当権者にも特に大きな影響はありません。
しかし、異時配当という方法が採られる場合には、少し問題が生じます。
共同抵当権というのは、ある債務のために複数の抵当権を設定することを言うのですが、あくまで、別個独立の抵当権が成立しているのです。
ですから、必ずしも同時にそれらの抵当権を実行する必要はなく、別々に実行することもできるのです。
それでは、具体例を挙げて実際に異時配当の計算をしていきましょう。
少し複雑な事例になりますので、まずは事案の状況を理解してください。
AがBに対して5000万円の債権を有しています。
その債権を担保するために、債務者Bの甲土地(価格:6000万円)と乙建物(4000万円)に共同抵当権を設定していました。
第322号 民法 第392条(共同抵当における代価の配当)
前回は、共同抵当権というものがどういうものなのかということを解説しました。
しかし、392条というのは、共同抵当権の制度について規定している条文ではなく、共同抵当権が実行されて配当する場合の規定です。
同時配当をする場合の規定が1項で、異時配当をする場合の規定が2項です。
前回、解説したように、共同抵当権は、抵当権者にとって、有利なシステムなのですが、実行する場合にいろいろと複雑な問題が生じます。
特に、後順位抵当権者との関係でも問題が生じるので、その調整を図るために392条が規定されているのです。
まず、同時配当の場合を解説します。
少し複雑な事例になりますので、まずは事案の状況を理解してください。
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