第374号 2017・7・1

■■ はじめに ■■

みなさん。こんにちは。

前回と前々回で不可分債権の解説をしました。

今日は不可分債務についての解説です。

不可分債権と名前が似ていますが別物ですのでしっかりと頭を切り替えて区別しましょう。

今回の430条は次の款で解説する連帯債務の解説が終わってからでないと理解できない部分がたくさんあるので、分からない場合は読み飛ばして下さい。

それから、このメルマガを通じて私に法律相談のメールをいただく事があるのですが、私は現在そのようなご質問に責任を持って回答することができるような立場(職業)にあるわけではございませんので回答することができません。

また、数が多いため個別に回答させていただくことが難しいので、このメールをもって、いただいたご相談に対する回答に代えさせていただくことをご理解いただきますようお願いします。

それでは、さっそく解説を始めていきましょう。

▼▼▼ 第430条(不可分債務) ▼▼▼

前条の規定及び次款(連帯債務)の規定(第四百三十四条から第四百四十条までの規定を除く。)は、数人が不可分債務を負担する場合について準用する。

■■ 解説 ■■

不可分債務については不可分債権(428条)と異なり、定義が条文上明らかではありません。

ただ、一般的には428条を参考にして、複数人の債務者が負う債務の目的が性質上不可分である場合と当事者の意思表示によって不可分である場合を言うと考えられています。

例えば、AがB、C、Dに対して自動車の引き渡し請求権を有しているとします。

自動車を3つにバラして引き渡すことは物理的には可能ですが、社会通念上は不可能なので、自動車の引き渡しは性質上不可分となります。

この時に、B、C、DがAに対して負っている自動車の引き渡し債務が不可分債務です。

不可分債務は「前条の規定」(429条)が準用されるため、一人の債務者と債権者の間で更改又は免除がされた場合でも、その効力は相対効であり、他の債務者は依然として全部の給付をしなければなりません。

さきほどの例で言えば、AがBに対して債務を免除したとしても、C、Dは自動車の引き渡し債務を免れないということです。

更改も同じです。

次に、「次款(連帯債務)の規定」も準用されます。

連帯債務の解説をまだしていないので、ここでは簡単な説明だけしておきます。連帯債務の解説がが終わったらまた確認しておいて下さい。

連帯債務の規定の1つである432条は以下のように定めています。

数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。(432条)

債権者は誰か特定の債務者だけを選んで、全部又は一部の請求をすることがでるし、全員に対して同時に又は順次に一部又は全部の請求をすることもできるということです。

要するに連帯債務の債権者は複数の債務者の誰にどのように請求してもよいということです。

この規定が不可分債務にも準用されるので、さきほどの例で言えば、AはB、C、Dに対して、誰か一人を特定して請求することができるし、全員に対して同時に又は順次に請求することもできるということです。

なお、括弧書きで「第434条から第440条までの規定を除く」となっていますので、連帯債務の絶対効の規定である434条から440条までは準用されません。

434条から440条までは連帯債務の部分でじっくり解説しますので今は読み流しておいて下さい。

■■ 豆知識 ■■

前回の豆知識では、不可分債権の絶対効と相対効について触れました。

今回は不可分債務です。

不可分債権は履行の請求が428条で絶対効でしたが、不可分債務は428条のような規定がありませんし、準用もされていません。

したがって、不可分債務は履行の請求が相対効になります。

あとは429条が準用されていますので、大体同じです。(不可分債務は不可分債権と異なり債権者が一人なので代物弁済と相殺も絶対効)

この辺りは本当に細かいので表にして覚えた方が分かりやすいので、とりあえず今はあまりこだわらない方がいいと思います。

■■ 編集後記 ■■

冒頭でも述べましたが今回の条文は連帯債務の解説が終わってからでないと理解できない部分が多いと思いますので、分からなくても安心して下さい。

また、多数当事者の債権者債務関係は、言葉が似ているので混同しないように注意が必要です。

大事なことは、それぞれの具体的なケースを思い浮かべることができる事です。

不可分債権はどんな場合か?

不可分債務はどんな場合か?

この具体例をすぐに自分で言えるようになっておけば大丈夫です。

なお、今回の430条も今回の改正で大きく変わっています。他の改正された条文と絡んで複雑になっているので、今は改正430条の解説は省略します。

ちなみに、今回の430条の改正された条文は以下のようになっています。

【430条(不可分債務)】
第四款(連帯債務)の規定(第四百四十条の規定を除く。)は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。

さきほどの解説でも書きましたが、不可分債務についての定義は現行法では条文上明らかではありません。

それが改正によって条文で明確に定義されました。

それでは、次回もお楽しみに。

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(裏編集後記)

最近、いろんな分野で話題のディープラーニングを理解するために数学の勉強をちょっとやり直しています。

で、思うのは語弊があるかもしれないですけど「法学って実はそんなに難しくない?」って事です。

膨大な量があるから覚えるのが大変だったり、めんどくさいところがあったり、改正が重なったりで複雑なところはいっぱいあるけど、少なくとも個別で見ると理解するのが難しいって所はあまり無いですよね。

そう言えば、ガリレオとかニュートンとか歴史に名前が残る有名な数学者とか物理学者ってたくさんいるけど、彼らに比肩するような歴史に名前が残るほどの法学者ってほとんどいませんよね。

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