第325号 民法 第394条(抵当不動産以外の財産からの弁済)
民法394条は、抵当権者と一般債権の利益を調整している規定です。
抵当権者は、債務者に対する関係においては、抵当権を実行せずに債務者の一般財産に対して直接強制執行することもできます(394条1項)。
ただ、そうすると、抵当権を有しない一般債権者の期待を害してしまいます。
これでは。いまいちわからないと思いますので、具体例をあげて解説します。
例えば、Aさんが甲さんに対して500万円の債権を有しており、その債権を担保するために甲の家(価額:400万円)に対して抵当権を設定しました。
さらに、Bさんも甲さんに対して100万円の債権を有していたとします。
このような事例において、債務者甲さんの返済が滞ったとします。
第324号 民法 第393条(共同抵当における代位の付記登記)
前条第2項の規定というのは、前回解説したように共同抵当権が設定されて、異時配当された場合の規定でした。
異時配当された場合、一定の範囲で後順位抵当権者は、先順位抵当権者に代位して、優先弁済を受けることができます。
ここまでは、前回解説したことです。
今日の393条は、後順位抵当権者が代位する場合、その対抗要件として代位の登記をすることができるということです。
もし、代位の登記をしない間に、新たな第三者が利害関係に入ってくれば、その者に対抗することができないということです。
これは、後順位抵当権者が共同抵当権者に代位することは、理論的にいえば、共同抵当権が一定の範囲で後順位抵当権者に移転することであるから、その対抗要件として登記を要求されているのです。
第323号 民法 第392条(共同抵当における代価の配当)
前回、解説した同時配当というのは、ある債務を担保するために複数の物に対して抵当権が設定されている場合において、それらの抵当権を同時に実行することです。
同時配当の場合には、それほど問題は生じません。
前回、解説したような方法で計算すれば、他の人、特に後順位抵当権者にも特に大きな影響はありません。
しかし、異時配当という方法が採られる場合には、少し問題が生じます。
共同抵当権というのは、ある債務のために複数の抵当権を設定することを言うのですが、あくまで、別個独立の抵当権が成立しているのです。
ですから、必ずしも同時にそれらの抵当権を実行する必要はなく、別々に実行することもできるのです。
それでは、具体例を挙げて実際に異時配当の計算をしていきましょう。
少し複雑な事例になりますので、まずは事案の状況を理解してください。
AがBに対して5000万円の債権を有しています。
その債権を担保するために、債務者Bの甲土地(価格:6000万円)と乙建物(4000万円)に共同抵当権を設定していました。
第322号 民法 第392条(共同抵当における代価の配当)
前回は、共同抵当権というものがどういうものなのかということを解説しました。
しかし、392条というのは、共同抵当権の制度について規定している条文ではなく、共同抵当権が実行されて配当する場合の規定です。
同時配当をする場合の規定が1項で、異時配当をする場合の規定が2項です。
前回、解説したように、共同抵当権は、抵当権者にとって、有利なシステムなのですが、実行する場合にいろいろと複雑な問題が生じます。
特に、後順位抵当権者との関係でも問題が生じるので、その調整を図るために392条が規定されているのです。
まず、同時配当の場合を解説します。
少し複雑な事例になりますので、まずは事案の状況を理解してください。
第321号 民法 第392条(共同抵当における代価の配当)
392条は、条文を読むだけでは、ほとんど何もわからないと思います。
共同抵当は、難しいので、今回は、共同抵当権という制度の概要だけ解説します。
まず、共同抵当権とは、債権者が同一の債権の担保として一個の不動産だけではなく、複数の不動産の上に抵当権を取得することをいいます。
たとえば、AさんがBさんに対して1000万円の債権を有していたとします。
そして、その債権を担保するために、Aさんが、Bさんの土地だけではなく家にも抵当権を設定するような場合です。
AのBに対する1000万円の債権を担保するために、Bさんの土地と家という2つの不動産に抵当権が設定されています。
この共同抵当権というのは、債権者にとってかなり有利な制度なのです。
もし、さきほどの事例で、AさんがBさんの家だけにしか抵当権を設定していなかった場合、後にその家が地震や火事などで消失してしまったとしたら、抵当権も消滅してしまうのです。
第320号 民法 第391条(抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求)
抵当権が設定された不動産が競売された場合、先順位の抵当権者から順番に優先弁済を受けることになります。
例えば、1000万円の土地に対して、500万円の債権を有する1番抵当権者A、300万円の債権を有する2番抵当権者B、300万円の債権を有する3番抵当権者C、がいたとします。
このような事例で、抵当権が実行され不動産が競売にかけられた場合、1番抵当権者であるAがまず、500万円を取り、次に2番抵当権者であるBが300万円を取り、最後に3番抵当権者のCが残りの200万円を取ることになります。
ただ、抵当不動産に第三取得者が存在し、その第三取得者が必要費や有益費を支出していた場合には、まず第三取得者がその必要費や有益費を196条の区別に従って1番抵当権者より優先して償還を受けることができます。
さきほどの事例で、甲が債務者で、抵当不動産を所有してましたが、後に、乙に抵当不動産を譲渡していたとします。
第319号 民法 第390条(抵当不動産の第三取得者による買受)
抵当権が実行されると、その物は競売にかけられることになります。
よく広告で「格安!競売物件」などを見かけることがあると思います。
あれをイメージしていただければいいかと思います。
競売には、誰でも参加することができ、抵当不動産の第三取得者であっても買受人になることができるということを390条は規定しています。
条文には、「第三取得者は」と規定してあります。
とすると、抵当権設定者や抵当権者は、競売に参加して買受人になることはできないとも思えますよね。
しかし、この条文は、第三取得者について注意的に規定したにすぎず、抵当権設定者や抵当権者など誰でも買受人になることができると解されています。
第318号 民法 第389条(抵当地上の建物の競売)
389条1項本文には、「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。」と書いてあります。
つまり、土地に抵当権を設定した時は、建物が建っていなかったが、その後に、建物が築造された場面の規定です。
もし、抵当権を設定した時点で、すでに建物が建っていた場合、その建物の所有者が土地の所有者と同じであれば、388条の法定地上権の問題になります。
しかし、抵当権を設定した時点で、建物が建っていなかったとすれば、法定地上権が成立することはありません。
なぜなら、法定地上権の成立要件である「抵当権設定時の土地と建物が存在していること。」という要件を充たさないからです。
とすると、建物の所有者は、その建物を取り壊して出ていかなければならなくなります。
法律的には、こうなるのですが、事実上、建物の所有者は出ていかないことが多いですよね。
もちろん、裁判をして強制的に退去させることは可能ですが、費用も手間もかかります。
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