第87号 2005・11・25

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、87号で、108条の解説です。

まだまだ代理に関する規定が続きます。

今日はややこしい概念を説明します。

似ているのですが、違うのでしっかりと区別してください。

第108条(自己契約及び双方代理)

同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行についてあらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

■■ 解説 ■■

いわゆる自己契約・双方代理の禁止といわれている条文です。

おそらくこれだけじゃ意味が分からないと思うので、説明します。

まず、自己契約です。

例えば、Aさんが、車を買おうとしています。

ただ忙しくて自分で買いにいく時間がないので、Bさんに代わりに買いにいってもらおうと、Bさんい代理権を与えました。

つまり、本人がAさんで、代理人がBさんということになります。

この時、Aさんが欲しい車はベンツでした。

そして偶然、Bさんが乗っている車もベンツでした。

そこで、Bさんは、Aさんの代理人として、自分のベンツを買う契約をしたとします。

これが、自己契約というものです。

Aさん(本人)
   ↓ 代理権
Bさん(代理人)  →  Bさん

という状態です。

通常は、Cさんなどの別の人から買ってきますよね。

Aさん(本人)
    ↓ 代理権
Bさん(代理人)  →  Cさん

これが通常の代理です。

で、自己契約は108条によって禁止されています。

108条の「同一の法律行為については、相手方の代理人となり」という部分です。

では、なぜ自己契約は禁止されているのでしょう?

鋭い方なら気づくと思います。

そうです。自己契約をすると本人が不当に不利益を受ける可能性があるのです。

つまり、Bさんは自分の車を自分に売るわけですから、当然高く売りますよね。

一般の市場価格よりも高く売りつけようとするわけです。

通常なら、市場価格より高ければ買いませんよね。

断ります。

でも、自己契約の場合、売る相手もまた自分なのです。

ですから、断るわけがありません。

しかも、この契約の効果は本人であるAさんに帰属します。

Aさんは、市場価格より高くベンツを買わなければならないという不利益を受ける可能性があるのです。

ですから禁止されているわけです。

次に、双方代理です。

先ほどの事例の応用で、本人A、代理人B、そして相手方をCさんとします。

そして、Cさんも忙しい人で、代理人を選任しました。

この代理人にBさんがなりました。

これが、双方代理というものです。

Aさん(本人)        Cさん(相手方)
  ↓ 代理権          ↓ 代理権
Bさん(Bの代理人)  →  Bさん(Cの代理人)

この場合も先ほどと同じことが起こりますよね。

なぜかわかるでしょうか?

少し考えてみてください。

頭の体操です。

ということで、自己契約・双方代理は本人が不当な不利益を受ける可能性があるので、禁止されているのです。

ただし書きについては、次回に説明します。

少し考えてみてくだい。

ちょっと考えればすぐに分かると思います。

ちょっとした宿題ということで。

■■ 豆知識 ■■

それから、さきほど自己契約・双方代理は禁止されていると書きましたが、その効果は無権代理になります。

決して無効ではないので気をつけてくださいね。

無権代理ですので、まだ説明していませんが、116条で本人は追認というのをすることができます。

つまり、本人が不利益を受けるための制度が108条なわけですから、その不利益を受ける本人が追認するんだったら有効にしてもいいだろうということです。

無権代理行為の追認については、116条のところでまた説明します。

とにかく、自己契約・双方代理の効果は「無権代理」です。

「無効」ではありません。

これもまた、法律系の資格試験に頻出です。

覚えてしまってください。

この代理関係のところはほんとに大事で、試験にもよく出題されます。

頑張っていきましょう。

■■ 編集後記 ■■

昨日のメルマガで、メールソフトのユードラというのを紹介しましたが、意外に反響がありました。

もう少し詳しく教えて欲しいというメールを多数いただきましたので、私が思うアウトルックよりいい所を紹介したいと思います。

法律系のメルマガで、メーラーに反響があるのはうれしいような悲しいような、という感じですが。

でも、メールはほんとにいいツールですから、よしとしましょう。

全部書けないので、ちょっとずつ紹介しますね。

まず、私が一番いいと思ったのは、スパムメールの判別昨日が優れているということです。

どんどんスパムメールをスパムフォルダに放りこんでいってくれます。

もちろん、こぼすこともあるのですが、その場合はそのメールをスパム認定してやれば、だんだん学習していってくれます。

どういう仕組みかは不明ですが。

そうやって使えば使うほど、自分だけのオリジナルメーラーになるということです。

ちなみに、スパム認定も「Ctrl+J」というショートカットで一発ですので、非常に楽です。

まず、思いつくメリットはこれです。

OEはちょっとスパム判別機能が弱いです。

細かい設定もできませんし。

ユードラは細かい設定がいろいろできて、ほんとに使えば使うほど自分のオリジナルになっていきますので一度使い始めるとやめられません。

ということで、長くなりましたので続きは次回で!!

とても3分で読める量じゃありませんね。発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/

日本で実施されている資格を調べるには資格キングをご利用下さい。

なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

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