第79号 2005・10・21
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は、100条の解説です。
このメルマガもついに100条まで進みました。
といっても、民法は全部で1044条あります。
しかも、それぞれの条文に論点が山盛りです。
ほんとに勉強をするのが大変な法律です。頑張っていきましょう!!
第100条(本人のためにすることを示さない意思表示)
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
■■ 解説 ■■
前回の解説を覚えているでしょうか?
前回の解説で、代理が成立するには、顕名というものが必要だと言いましたよね。
例えば、甲さんが、車を買うために乙さんを代理人として選任しました。
乙さんは、丙さんから車を買うときに、「私は、甲さんの代理人です。」と言わなければならないということでしたよね。
これを言わないと、丙さんからすると、車を買いにきているのは、乙さんなんだから、自分が車の売買契約をしている相手は、乙さんだと思ってしまいますよね。
ですから、99条は代理が成立するためには、顕名(けんめい)が必要だと規定しているのです。
それでは、もし、乙さんが、「自分は、甲さんの代理人です。」と言わなかった場合はどうなるのでしょうか?これを規定いたのが、100条本文です。
このように、顕名がない場合は、代理は成立せず、車の売買契約は、乙・丙間で成立することになります。
丙さんからすれば、何も言わないんだから、当然相手は目の前にいる、乙さんだと思いますよね。
反対に、乙さんは、自分では車なんて買う気がなかったのですが、自分がきちんと、甲さんの代理人ですよ、と言わなかったから悪いんです。
ただ、顕名が要求された理由って何だったでしょうか?
これを考えて欲しいんです。
これを法律の世界では、よく条文の趣旨といいます。趣旨を考えるのはとても大事なので、常に意識しておいてください。
顕名が必要とされる趣旨は、「相手方が誰か。」ということを、しっかりと示すためでしたよね。
とすれば、たとえ顕名がなかったとしても、丙さんが、自分の相手方は甲さんであり、乙さんは、甲さんのために行動しているんだ、ということを知っていた場合には、顕名なんて必要ないですよね。
ですから、顕名がなかったとしても、自分の相手方が誰であるかということを知っていた場合には、本人との間に契約が成立することになります。
これを規定したのが、100条但書きです。
さきほどの事例でいえば、乙さんが、「自分は甲さんの代理人です。」と言わなかった場合、その場合は、100条本文で、乙・丙間に契約が成立します。
しかし、乙さんが、「自分は甲さんの代理人です。」と言わなかった場合でも、丙さんが乙さんは、甲さんの代理人なんだ、ということを知っていた場合には、100条但書きで甲・丙間に売買契約が成立することになります。
■■ 豆知識 ■■
先ほど説明した、但書きですが、但書きが適用されるのは、「代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができた」場合です。
単に、本人が代理権を与えたということを知っていた場合では、但書きは適用されませんので注意してください。
■■ 編集後記 ■■
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