第372号 2016・7・27

■■ はじめに ■■

みなさん。こんにちは。

前回から多数当事者の債権債務という部分に入りました。

前回は多数当事者の債権債務の原則である分割債権と分割債務について解説しました。

今日は、不可分債権についての条文の解説です。

それでは、さっそく始めていきましょう。

▼▼▼ 第428条(不可分債権) ▼▼▼

債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をする事ができる。

■■ 解説 ■■

前回解説したように、ある債権について複数の債権者がいる場合、分割債権になるのが原則です。

しかし、債権の目的がその性質上不可分の場合、又は当事者の意思表示によって不可分とした場合には、債権は不可分債権になります。

この事を規定したのがこの428条です。

「その性質上不可分」の場合というのは、例えば自動車の引き渡し請求権などです。

A、B、Cの3人が共同でDから300万円の自動車を買った場合の自動車の引き渡し請求権です。

債権の目的である自動車は3つに分割することは不可能なので、このような場合には不可分債権となります。

次に「当事者の意思表示によって」不可分の場合というのは、性質上は可分であっても当事者の意思表示によって分割を認めないようにした場合のことです。

例えば、A、B、Cが共同でDから石炭30トンを買い、当事者が石炭を分割して引き渡さないという特約をした場合の石炭の引き渡し請求権です。

石炭は性質上可分なので、10トンずつそれぞれバラバラにしてA、B、Cに引き渡すということも可能なのですが、当事者の意思を尊重して、このような場合も不可分債権となります。

理由は簡単ですよね。私的自治の原則です。

そして、不可分債権は各債権者がすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができます。

先ほどの具体例で言えば、A、B、Cはそれぞれ自分に自動車(3分の1ではなく1台全部)を引き渡せということを請求できたり、石炭30トン全部を自分に引き渡せということが請求できるということです。

自動車を3つに切断してそのうちの3分の1だけ引き渡せということができませんから、全部を引き渡せということを請求できるのです。

反対に債務者の側は、どの債権者に対して全部を履行してもいいということです。

先ほどの具体例で言えば、DはA、B、Cの誰か一人に自動車を引き渡せばいいし、A、B、Cの誰か一人に対して石炭30トン全部を引き渡せばいいということになります。

誰か一人に対して履行すれば、全員に対する債務が消滅するという事です。

■■ 豆知識 ■■

さて、この428条は要件についての条文でしょうか?効果についての条文でしょうか?

もう一度条文を読んで少し考えてみてください。

答えは、要件と効果の両方を定めた条文です。

前半が要件についての規定、後半が効果についての規定です。

性質上不可分又は当事者の意思表示がある場合という要件を満たすと不可分債権となり、不可分債権となった場合の効果として債権者はすべての債権者のために履行を請求することができ、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができると定めています。

こういう簡単な条文でもさらっと読んで終わりではなく、要件・効果を意識して読むと、より理解が深まると思います。

■■ 編集後記 ■■

この多数当事者の債権債務は、細かい知識を覚えることが大切になります。

択一式の問題で細かい知識が問われることがあるので、過去問で出題された部分だけでもコツコツ覚えていくようにして下さい。

それでは、次回もお楽しみに。

iPhoneアプリ 憲法の条文暗記アプリシグマ式条文暗記(憲法編)

シグマ式条文暗記アプリ(憲法編)

【iPhoneアプリ】法律の勉強で最も重要な事は重要条文を暗記すること。

シグマ式条文暗記アプリは、憲法の条文をスキマ時間に効率よく暗記できる教育用iPhoneアプリです。

無料ダウンロードはこちら。

発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/

日本で実施されている資格を調べるには資格キングをご利用下さい。

なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

(裏編集後記)

資格試験の勉強などをしていると長丁場になる事が多かったり、より難関の資格に調整したりして、いらなくなったテキストや問題集が貯まってくるということがありますよね。

私の場合は全部PDF化してiPadに入れて紙は全部捨てるのですが、少しでもお金に変えたいという人は受験のテキストや問題集の買取専門サイトに売るとお得ですよ。

実は、私も以前にテキストや問題集の買取・販売サービスをやっていたことがあります。

中古でもいいからとにかく安く手に入れたいという需要が強いから商売になるのです。

このサイトは、まぐまぐより発行している無料メルマガのバックナンバーです。最新号を早く読みたい場合は、無料メルマガの登録をお願いします。登録はこちらから。

メールマガジン登録

このサイトは、まぐまぐより発行している無料メルマガのバックナンバーです。最新号を早く読みたい場合は、無料メルマガの登録をお願いします。登録はこちらから。

受験生に大ヒット中のiPhoneアプリ

【iPhoneアプリ】法律の勉強で最も重要な事は重要条文を暗記すること。

シグマ式条文暗記アプリは、憲法の条文をスキマ時間に効率よく暗記できる教育用iPhoneアプリです。

iPhoneアプリ 民法の条文暗記アプリシグマ式条文暗記(民法編)

「シグマ式条文暗記アプリ民法編」無料ダウンロードはこちら。

iPhoneアプリ 憲法の条文暗記アプリシグマ式条文暗記(憲法編)

「シグマ式条文暗記アプリ憲法編」無料ダウンロードはこちら。

民法のおすすめの本

↓民法基本書の定番である内田民法!民法を勉強するなら必ず持っておきたい基本書の一つです。

民法1 第4版

↓司法試験受験生の間で圧倒的な支持を得ている伊藤塾のテキストです。司法試験、司法書士、行政書士の受験対策や大学の学部試験対策に最高のテキスト。

伊藤真試験対策講座1 民法総則

↓民法の偉大な学者である我妻先生が民法の条文を一つずつ徹底的に解説されています。条文の趣旨や要件・効果などを調べたい時に辞書のように使うと便利な本です。

我妻・有泉コンメンタール民法—総則・物権・債権