第364号 2012・12・24

■■ はじめに ■■

おはようございます。

債権者代位権の解説が途中になっていましたので、今回で終わらせます。

今回は、債権者代位権の中でも最も大事なテーマであり、試験にも頻出される債権者代位権の転用を解説します。

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それでは、さっそくはじめましょう。

▼▼▼ 第423条(債権者代位権) ▼▼▼

1項
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利はこの限りでない。

2項
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

■■ 解説 ■■

債権者代位権は、自己の債権を保全するために債務者の責任財産を保全するというのが制度趣旨でした。

したがって、債権保全の必要性が要件とされています。

内容としては、被保全債権が金銭債権であること、債務者が無資力であることです。

債権者代位権の要件は、絶対に覚えておかなければなりません。条件反射で口ずさむ事ができて当然です。

大事なのでもう一度書いておきます。

【債権者代位権の要件】
1、債権者が自己の債権を保全する必要があること(1項本文)
(a)被保全債権が金銭債権
(b)債務者の無資力要件
2、債務者が自らその権利を行使しないこと
3、被保全債権が原則として弁済期に達していること(2項)
(a)例外1:裁判上の代位
(b)例外2:保存行為

ここまでが債権者代位権の原則なのですが、判例は債権者代位権の適用範囲を拡大し、債務者の責任財産保全という目的以外で債権者代位権を行使することを認めています。

債務者の責任財産保全という目的以外で債権者代位権を行使する場合を学問上「債権者代位権の転用」と言います。

具体例を挙げて説明します。

1、甲が乙に土地を売却
2、乙は丙に土地を売却
3、土地の登記は未だ甲にある

 甲  →  乙  →  丙
[登記]

このような場合、乙は甲に対して移転登記請求権を持っています。また、丙も乙に対して移転登記請求権を持っています。

もう少し詳しく言うと、乙の持っている移転登記請求権は債権的登記請求権か物権変動的登記請求権で、丙が乙に対して持っているそれは債権的登記請求権、物権変動的登記請求権、物権的登記請求権のいずれも考えられます。

このあたりの意味が分からない人は177条あたりからの解説を読み直して下さい。

乙が甲に対して移転登記請求をすれば何の問題もないのですが、乙が何らかの理由で甲に対して移転登記請求をしなかったとします。

とすると、丙は乙から登記を移転してもらうことができません。これを放置しておくと、甲が丁など別の誰かに二重譲渡してしまい、せっかく買った土地を手に入れられなくなる可能性があります。

丙としては、乙から登記を移転する代理権をもらい甲から乙に登記を移転するということが考えられますが、その場合には乙の承諾が必要となります。

甲に対して登記の移転を請求しない乙が代理権など与える訳がありません。

そこで丙としては、自分が乙に対して持っている移転登記請求権を被保全債権として、乙が甲に対して持っている移転登記請求権を代位行使したいのです。

このような債権者代位権の行使を判例は認めているのです。

形式的に債権者代位権の要件にあてはめると、被保全債権が金銭債権である事と債務者が無資力である事という債権保全の必要性という要件を充たしません。

被保全債権は、土地の引き渡しという特定債権であり、乙の責任財産が増えたとしても、丙は必ずしも土地を手に入れられるわけではありません。

また、乙は必ずしも無資力とは限りません。丙としては、乙が無資力であろうが何であろうが、とにかく目的の土地を手に入れたいわけです。

仮に乙が財産をたくさん持っていて、損害賠償請求して確実に全て回収できるような状態だったとしても、目的のその土地を手に入れることができなければ意味がないのです。

形式的には、債権者代位権の要件を充たしませんが、丙の立場に立てば分かるように、このような場合に債権者代位権を認める必要性はあります。

そして、423条1項も「自己の債権」としており、文言上は金銭債権に限定していません。

また、まだ解説していないので分からないと思いますが425条は423条を含めていないのです。これは次の詐害行為取消権の解説をした後でないと分からないと思いますので、今は無視して下さい。

したがって、必要性と許容性が認められるので判例は債権者代位権の転用を認めているのです。

■■ 豆知識 ■■

債権者代位権の要件は絶対に覚えてしまって下さい。

それと、債権者代位権の転用が認められる理由も重要ですので、3つ全部覚えておいて下さい。

1、423条1項の文言は「自己の債権」となっており金銭債権に限定していない。(許容性)
2、425条は423条を含めていない。(許容性)
3、実際問題として認める社会的必要性がある。(必要性)

■■ 編集後記 ■■

債権者代位権は、基本的な制度の趣旨などを理解するのは難しくないと思います。

しかし、実際に問題に出題される時は、かなり複雑な事案になっている事が多く、債権者代位権の転用事例なども出てくるので、難しいテーマの一つです。

ただ、債権者代位権の趣旨、要件、債権者代位権の転用をきちんと理解して暗記しておけばほとんどの問題が解けると思います。

1つずつ要件にあてはめながら問題を丁寧に解く訓練をすると理解は深まると思います。

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それでは、次回もお楽しみに。

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堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
勝つことばかり知りて、負けることを知らざれば、害その身に至る。
己を責めて人を責めるな、及ばざるは過ぎたるより勝れり。

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