第323号 393条 2008・5・13

■■ はじめに ■■

みなさん、こんにちは。少し忙しくて時間があいてしまいました。すみません(汗)。

ついこの間、ソフトバンクが「JointInnovationLab」の設立を発表しましたね(^○^)

簡単に言うと、ヨーロッパとアメリカで携帯事業を展開しているボーダフォンと中国最大の中国移動(日本のドコモみたいなもの)と日本最大のインターネットカンパニーであるソフトバンクが提携したということです。

現段階で、既に3社の携帯電話の契約数の合計が7億台を突破したそうです。5年以内に10億台を超えるということです。

ソフトバンクというと、日本では携帯業界3位の会社という見方をされていますが、とんでもないですね。

ドコモが確か6000万くらいだったと思いますが、軽くその10倍です。

ソフトバンクは、つい最近中国最大のSNSであるシャオネイとも提携しています。

会員数はミクシィの2倍か3倍くらいです。

ミクシィ、ミクシィって騒いでますけど、一瞬にしてソフトバンクが2倍の差をつけて抜き去ってしまいました。

ソフトバンク社長の孫さんはすごいなと思うのと同時に、世界は広いし、特に中国のスケールの大きさにただ驚くばかりです。

世界中どこでも、自分が使っている携帯電話で国内と同じくらいの価格で電話やインターネットを楽しめる時代がすぐそこまできています。

まさしくユビキタス社会の到来です。

世界が国境を越えて一つになりつつあることを実感させられる出来事でした。

ますます、英語能力の重要性が高まることでしょう。

編集後記に、中国の急成長やインターネットカンパニーの話の続きを少し書いています。

それでは、さっそくはじめていきましょう。

第392条(共同抵当における代価の配当)

1項
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権を按分する。

2項
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権に代位して抵当権を行使することができる。

■■ 解説 ■■

前回、解説した同時配当というのは、ある債務を担保するために複数の物に対して抵当権が設定されている場合において、それらの抵当権を同時に実行することです。

同時配当の場合には、それほど問題は生じません。

前回、解説したような方法で計算すれば、他の人、特に後順位抵当権者にも特に大きな影響はありません。

しかし、異時配当という方法が採られる場合には、少し問題が生じます。

共同抵当権というのは、ある債務のために複数の抵当権を設定することを言うのですが、あくまで、別個独立の抵当権が成立しているのです。

ですから、必ずしも同時にそれらの抵当権を実行する必要はなく、別々に実行することもできるのです。

それでは、具体例を挙げて実際に異時配当の計算をしていきましょう。

少し複雑な事例になりますので、まずは事案の状況を理解してください。AがBに対して5000万円の債権を有しています。

その債権を担保するために、債務者Bの甲土地(価格:6000万円)と乙建物(4000万円)に共同抵当権を設定していました。

さらに債務者Bに対して4000万円の債権を有するCがいて、甲土地に対して第2順位の抵当権を設定していたとします。

このような状況の時に、Aが甲土地に対する抵当権と乙建物に対する抵当権を同時に実行すると同時配当ということになり、1項が適用されます。

同時配当は、前回解説したので省略します。

このような状況の時に、Aがまず甲土地に対する抵当権だけを実行したとします。これを異時配当というのですが、どのような計算になるでしょうか?

まず、当然の話として、Aは、甲土地の有する6000万円の価値から、自分の債権である5000万円の全額の優先弁済を受けることになります。

これは当然ですよね。第1順位の抵当権者であるAさんは、これで処理できました。

問題は、第2順位の抵当権者であるBさんです。

Bさんも、甲土地に対して抵当権を設定しているわけですが、6000万円の甲土地からAがすでに5000万円持って行ってしまっているので、残りの1000万円しか回収することができないことになります。

ここで少し考えてください。

もし、第1順位の抵当権者であるAが別々に抵当権を実行するのではなく、同時に抵当権を実行していたとすればどうなるでしょう?

解説は省略して結論だけ言うと、同時配当の場合、Aは甲土地から3000万円、乙建物から2000万円の優先弁済を受けることになります。

すると、まだ甲土地には、3000万円の価値が残っていることになります。

そこで、第2順位の抵当権者であるBさんは、残りの3000万円について、優先弁済を受けることができます。Aさんが、抵当権を同時に実行するか、別々に実行するかで、後順位抵当権者であるBさんの取り分が全く異なっていることにお気づきでしょうか?

前者の場合は、Bさんの取り分は1000万円、後者の場合は、Bさんの取り分は3000万円です。

確かに、先順位の抵当権者は、あくまで権利者ですから、自分の抵当権を同時に実行するのか別々に実行するのか自由に選択する権利を有しています。

しかし、先順位抵当権者の選択によって、後順位抵当権者の優先弁済権の範囲がこれほど変化してしまうというのは、あまりにも不公平ですよね。

そこで、392条2項は、この不公平を是正しているのです。

392条2項の条文を読むとかなりわかりにくいのですが、簡単に説明すると異時配当がなされた場合、同時配当がなされた場合と比べて不利にならないように他の共同抵当権に代位することができるのです。

これでも難しいと思いますので、さきほどの具体例で解説します。

まず、同時配当されていたとすれば、債権者がどれだけの優先弁済を受けることができたのかを計算します。

〜同時配当〜

A:甲土地から3000万円、乙建物から2000万円

B:甲土地から3000万円

これが、同時配当の場合の計算です。

同時配当されていた場合、Aは乙建物から2000万円優先弁済を受け取ることになります。

この2000万円がポイントです。

次に、異時配当がされた場合の各債権者の取り分を計算します。

〜異時配当〜

A:甲土地から5000万円

B:甲土地から1000万円

となります。

しかし、これだけで終わってしまえばBがあまりにもかわいそうですので、Bは、Aが同時配当していたとすれば、乙建物から優先弁済を受けていた金額を限度として代位することができるのです。

同時配当の場合、Aは乙建物から2000万円優先弁済を受けることができますので、その2000万円の範囲でBは乙建物に対する抵当権に代位して優先弁済を受けることができます。

つまり、異時配当の場合の最終結果は以下のようになります。

〜異時配当〜

A:甲土地から5000万円

B:甲土地から1000万円、乙建物から2000万円

これが、392条2項です。

気づいた方もいるかと思いますが、結局Bの取り分は合計で3000万円になりますので、同時配当された場合と同じ額になります。

やっぱり、民法は公平な結論になるようにうまく作られているんですね。

■■ 豆知識 ■■

今日は、特にありません。

各自で、いろいろな場面を想定して計算する練習をしてみてください。

■■ 編集後記 ■■

共同抵当権の計算はこれくらいにしておきたいと思います。

計算の場合は、図で書かないとどうしてもうまく計算できません。

文字だけで解説するというのは、かなり難しいです。

ただ、一度理解してしまえば、何かの具体例に条文の文言をあてはめながら読めば文字だけでも理解できるはずです。

最初、条文を読んだ時は全く理解できないと思いますが、内容を理解してからもう一度条文を読めば理解することができると思います。

と同時に、条文というは、うまくまとめて書いてあるなと感心させられます。

それでは、次回もお楽しみに!!

発行:株式会社シグマデザイン
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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

(裏編集後記)

受験生におすすめの在宅アルバイト。簡単な文章を入力するだけでお小遣い稼ぎができます。文章を書く訓練にもなって一石二鳥のお仕事です。

冒頭の話の続きをもう少し。

インターネットと中国の急成長によって、日本の大企業が瓦解していく音が私には聞こえます。

今まで一流企業と言われていたテレビ、鉄鋼、通信などの大企業が崩壊の危機に直面しているのではないでしょうか。

一流企業に入ったから一生安泰という時代は、完全に終わってしまっています。

これからは、間違いなくインターネットカンパニーと中国を中心とするアジアが世界を牽引していくことになるでしょう。

また、一部の大企業が社会をリードするのではなく、大多数の中小規模の会社が世界をリードしていく時代になると考えています。

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