第264号 2007・6・21

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、民法338条の解説です。

この条文は、昨日の条文と同じく、先取特権の中でも、重要な条文で、特に司法書士試験では絶対におさえておかなければならない条文です。

内容的には、趣旨は昨日の条文と似ていますので、すぐに理解することができるでしょう。

それから、一点だけお知らせがあります。

前回のメルマガの訂正です。すでにお気づきの方も多いと思いますが、前回のメルマガの中に以下の部分がありました。

「そもそも、先取特権というのは、担保物権の中の一つでしたが、その中でも約定担保物権の一つでした。」もうお分かりだと思いますが、当然、先取特権は「法定担保物権」です。

この点だけ訂正させていただきます。

それでは、さっそくはじめていきまよう!!

第338条(不動産工事の先取特権の登記)

1項
不動産工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。

2項
工事によって生じた不動産の増加額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

■■ 解説 ■■

短い条文ですが、冒頭でも申し上げたように、非常に重要な条文です。

民法338条は、不動産工事の先取特権についての規定です。前回は、不動産保存の先取特権でしたが、趣旨はほとんど同じです。

ほとんどというより、全く同じですので、特に解説することはありません。

すなわち、同一の不動産に対して、抵当権と不動産工事の先取特権が競合した場合、不動産工事の先取特権が抵当権に対して優先するのです。

これは抵当権者からしたら、たまったものではありません。

ですから、抵当権者等の先順位の担保権者を保護するために、登記によって公示した後でなければ効力を生じないと規定しているわけです。

ただ、少し疑問を持っていただきたい点があります。

前回の、不動産保存の場合には、「保存行為の後直ちに」登記をする必要があると規定してありました。

しかし、今回の不動産工事の場合には、「工事を始める前に」登記をしなければならないと規定されています。

なぜ、保存の場合は、保存行為の後でもいいのに、工事の場合は、工事の前にしなければならないのでしょうか?

これは試験にはたぶん出ることはないですが、少し考えてみて欲しいのです。

もう一段階、掘り下げて考えるくせをつけるという意味で、考えるいい素材になると思います。

以下の説明は、私見なのですが、おそらく正しいと思います。

登記によって公示することによって、初めて他の債権者は、先取特権が成立していることを知ることができるわけです。

とすれば、先取特権が成立しているのであれば、できるだけ早い段階で、登記させておくのが望ましいことになります。

だから、今日解説した338条のように、「前に」登記させておくのが原則論なのだろうと思います。

ただ、不動産保存の先取特権の場合には、緊急性があるので、「前に」登記をさせるのは困難であるのです。

不動産保存の先取特権というのは、たとえば、家の屋根が壊れたから大工さんに修理してもらったというような場合に、発生します。

屋根が壊れていれば、とにかく修理してもらうことが一番大事なことでしょう。

にもかかわらず、修理してもらう前に、まず登記をしないと先取特権が成立しないというのは少しかわいそうですよね。

登記なんてしているより、とにかく家を修理して欲しいのが通常だからです。

だから、不動産保存の場合には、「工事の後直ちに」として、事後的に登記をすることを認めているのだと思います。

他方で、不動産工事の場合には、工事するというのは普通は緊急性なんてないですよね。

ある程度、事前に予定を立てて工事に取り掛かるはずです。

ですから、できるだけ早い段階で登記をさせることが望ましいし、工事の前に登記を要求しても何ら不都合はないわけです。

おそらく、以上のような理由であろうと思います。

■■ 豆知識 ■■

昨日と同じ豆知識があります。少し細かいので、聞き流していただければかまいません。

「効力を保存する」と条文にありますが、その意味について、登記が対抗要件という意味か、効力発生要件という意味か、という争いがあります。

判例は、後者、登記が効力発生要件であるという立場をとっています。

したがって、登記をしない限り当事者間においても先取特権を主張することができないということになります。

■■ 編集後記 ■■

今日の民法338条は、昨日解説した条文と趣旨が同じだったので、内容の解説はほと んどありませんでした。

ただ、それですぐに読み飛ばしてしまうのではなく、じっくり考えるくせをつけて欲し いので、少し細かい部分まで解説しました。

さきほどのようなものは、知識として覚える必要は全くありません。

もし、試験などに 出題されたとしても、その場で考えれば、結論を出すことができますので。 そのためには、いつも考えるくせをつけているということが前提になりますが。

普段から考えているくせをつけておかないと、そのときに突然考えるということができ るはずありませんよね。

ということで、とにかく徹底的に自分で考えるくせをつけておきましょう。

さて、最後に一つおすすめのサイトを紹介しておきます。

インターネットを活用して、ちょっとした収入を得ることができるサイトです。

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それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

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ようやく、英語の勉強に本格的に取り掛かっています。

まだ、初めて4日くらいですが、何となく昔勉強していたことを思い出して、きて少しずつ分かりはじめています。

これを続ければ、2,3ヶ月である程度の読解はできるようになるかなと、ちょっとドキドキしています。

目標は、英語のサイトをすらすら読めるようになることです。

あとできれば、TOEFLで高得点を叩き出したいです(^—^)

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