第234号 2007・1・8

■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんわ。今日は民法第297条の解説です。

それでは、はじめていきましょう!!

第297条(留置権者による果実の収取)

1項
留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

2項
前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。

■■ 解説 ■■

さて、どうでしょうか?別に難しくはないですよね。

条文を読んだそのままです。

留置権者が、ある物を留置している時に、その物が果実を生み出したときは、その果実を自己の債権の弁済にあてることができるということです。

果実というのは、天然果実と法定果実がありますが、その両方を含みます。

わからない方は、バックナンバーで88条あたりを見てください。家を留置している時に、その家が誰かに賃貸されていて賃料を生み出したような場合、その賃料を自己の債権の弁済にあてることができるということです。

これは、法定果実の場合です。

もっとわかりやすく言えば、ニワトリを留置していて、そのニワトリが卵を産んだ場合に、その卵を競売して、その代金を自己の債権の弁済にあてることができます。

これが天然果実の場合です。

ただ、1点注意してください。

ここでいう果実収取権は、他の債権者に先立ってすることができますが、担保権一般で言われている優先弁済権とは異なります。

抵当権者などは、抵当権を実行して、競売にかけて、他の債権者に優先して弁済を受けることができます。

これが、担保権一般に言われている優先弁済権ですが、留置権の場合、抵当権のように留置している物を競売にかけて、その代金から優先弁済を受けるということはできません。

あくまで、自分が留置している間に発生した果実についてのみ優先的に弁済にあてることができるということです。

ですから、留置権にはいわゆる優先弁済権というものはありません。

■■ 豆知識 ■■

特に豆知識はありません。

天然果実や、法定果実の意味をバックナンバーで確認しておいてください。

■■ 編集後記 ■■

最後に1点だけ注意点を書きましたが、少し難しいと思われるかもしれません。

法律系の資格試験などを受験される方は、よく出題されるので、覚えておいてくださいね。

とにかく、留置権には優先弁済権はないということと、今日の297条のような条文があったということだけ覚えてください。

留置権は、ほんとうに大事な条文ですので、留置権の解説のはじめにした要件の部分を何回も読んでくださいね。

発行:株式会社シグマデザイン
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(裏編集後記)

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