第157号 2006・4・26

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。今日は、民法183条の解説です。

前回から、引渡しについての解説に入っております。

民法は、引渡しについて182条から184条で4つの形態を定めています。

前回の民法182条1項が、現実の引渡し。

2項が簡易の引渡しでした。

そして、今日解説するのが占有改定という形態です。

最後の一つが、指図による占有移転という形態で、次回の説明になります。

今は、引渡しの類型について勉強しているのだということを意識してください。

それでは、さっそくはじめましょう!!

▼▼▼ 第183条(占有改定) ▼▼▼

代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

■■ 解説 ■■

さて、この民法183条は、引渡しの中の3つめの形態である占有改定を定めています。

民法の解説というよりは、占有改定という言葉の解説だけで終わりなのですが、この占有改定という引渡しの方法は、後でちょっと問題が発生しますので、しっかりと理解しておいてください。

抽象的な話をしても分かりにくいので、いきなり具体例から入ります。

Aさんが、テレビを持っていました。

そして、そのテレビをBさんに売る契約を締結しました。

つまり、AB間でAさんのテレビの売買契約が締結されたということです。(具体的にどういう契約が成立したのか、すぐに反応できるようにしましょう。)

しかし、Bさんは、自分の家にはすぐに置けないので、とりあえず、「Aさん、私の代わりに、しばらく持っておいてよ。」と言いました。

それに応じてAさんも「わかりました。」と言いました。

この時、テレビを占有しているのは、まだAさんですよね。

でも、これでテレビの引渡しがあったことになります。

このAさんが、「わかりました。」と言った時点で、Bさんは現実にテレビを占有していなくても、引渡しを受けたことになりテレビの占有権を取得するのです。

これが占有改定です。

Aさんの、「わかりました。」というのが条文の「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示した」にあたるのです。

Aさんは、Bさんのテレビを代わりに占有している状態なので、代理人と規定してあるのです。

すなわち、条文の「代理人」というのは、Aさんのことです。

このように、物の移動が一切なくても、意思表示だけで引渡しがあったことになるのが占有改定という引渡しの形態です。

ちょっと、常識から離れているので、この具体例を覚えてしまってください。

■■ 豆知識 ■■

さきほど、占有改定は後で問題になるといいました。何が問題になるのでしょうか?

少し考えてみてください。

占有改定というのは、物が一切移動しません。

つまり、外見上は引渡しがあったかどうかがわからないのです。

外見上引渡しがあったかどうかわからないということは・・・、どうなるでしょう?

鋭い方は、これで気がついたと思います。

そうですね。

第三者が害される危険があるのです。

Aさんが、テレビを持っているから、Aさんをテレビの所有者だと信じて取引に入ってしまう第三者が登場する危険があるのです。

これは、取引の安全を害します。

そこで、後ほど解説する民法192条の即時取得との関係でいろいろな問題が発生するのです。

また、それは後ほどのお楽しみに!!

■■ 編集後記 ■■

豆知識でも触れましたが、即時取得(善意取得ともいいます。)との関係で、この占有改定が問題になります。

即時取得が成立するには、引渡しを受けるという要件が必要なのですが、その要件の関係でいろいろな問題が発生するのです。

その即時取得の解説をした後で、この引渡しの部分を勉強すると、さらに理解が深まると思います。

今は、引渡しの部分については、言葉の意味がわかれば十分です。

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